今回は同じ誉エンジン搭載機であるキ84と紫電改の比較です。
誉21型(ハ45-21)
離昇馬力 2000ps/3000rpm/500mmHg
一速公称 1860ps/3000rpm/350mmHg/1750m
二速公称 1620ps/3000rpm/350mmHg/6100m
減速比 1:0.5
機種 キ84 紫電改
全長 9.92 9.376 (m)
全幅 11.24 11.99 (m)
主翼面積 21.00 23.50 (㎡)
全備重量 3890 3800 (kg)
プロペラ 3.05 x 4 3.30 x 4
武装 20mm x 2 20mm x 4
12.7mm x 2
図1(高度 - 速度)
図2(高度 - プロペラ効率、先端マッハ数)
図3(高度 - 馬力)
図4(高度 - 上昇率(m/s)、上昇時間(min))
主翼が小さいキ84の方がほぼ全高度で速く、重量が少し軽くて翼面荷重も小さい紫電改の方が全高度で上昇率が良いという、ごく当たり前の結果になりました。
重量の差以上に紫電改の上昇率が良いのは翼面荷重が低いせいです。飛行機が飛ぶのに必要な馬力は速度×重量/揚抗比なので、翼面荷重が低いと上昇速度も遅くなって機体を浮かせるのに必要な馬力が減るので余剰馬力が増します。
紫電改が離陸上昇に有利な大直径プロペラで、キ84が高速で有利な小直径プロペラであることもそれぞれの特徴を強めています。
当時の戦闘機のプロペラは先端速度が音速に近いため、同じエンジンなら直径が大きい方がプロペラ先端速度が速くなって空気の圧縮性の影響を多く受けます。そのため大きなプロペラの方が高速では効率が低くなります。