小中陽太郎さんからイスラエル・パレスチナ問題に関する緊急アピールが届きました。元アジア・アフリカ事務局員であった私自身もイスラエルのガザ地区への攻撃には釈然としない怒りを感じておりました。そして、ガザ地区の罪もない市民たちの被害は拡大するばかりです。以下の小中陽太郎さんのご投稿に強く賛同いたします。(瀧澤陽子)



   イスラエル・パレスチナ問題に関する緊急アピール」

        イスラエルの無差別虐殺に抗議する

 

成人式の朝、AFPによると、先月27日からのパレスチナ自治区ガザ地区の死者数は885人に達したといいます(朝日新聞1月12日朝刊)。2008年末以来強行されているイスラエルによる無差別虐殺について大きな衝撃を受けています。


イスラエル側はハマスによるテロ攻撃を言い立てていますが、国連パレスチナ難民救済事業の運営する学校3カ所への砲撃により50人を超える罪なき子どもたちが犠牲となったことに、まったく弁護の余地はないと思います。ガーゼの由来といわれるガザ(毎日新聞18日)は、いたいけな子どもたちの血で染まりました。かつてアウシュビッツほかで民族クレンジングの悲劇を体験した民族が、今度はおなじ無法行為を行なうとは歴史の教訓をはきちがえています。


この時期の攻撃は、アメリカの政権交代の空白を狙い、欧米の金融恐慌をよいことにしているなどの見方もありますが、自国の安全までも世界秩序の混乱に乗ずる侵略は卑劣極まりないといわざるをえません。

恥ずべきは、曲がりなりにも中東の和平と称して、イラク周辺に自衛隊を派遣したわが国が、政治的戦略に明け暮れ、不況に対策も打てず、アメリカの戦略に迎合して抗議の声も上げないことでしょう。


かつてアジア・アフリカ作家会議において、作家活動にすこしでもかかわり、そのあとアジア・キリスト教協議会でエキュメニカル運動に携わった私としては、政治的・軍事的行動に対する非難の応酬を超えて、思想的、宗教上、大きな責任と無力感に置かれています。

そのことを恥じつつもここにお手紙するのは、下の人びとの勇気を覚えるからです。


かつてドレスデンであったマフムード・ダルウィーシュは生前「壁に描く」(四方田犬彦訳)でキリスト教とイスラム教の文化的同一性を教えてくれました。大江健三郎氏がよく伝えているサイードで、私がショックを受けたのは、アラブ支配階級の責任放棄でした。このとき、自国民衆の抵抗をおそれた周辺諸国の和平案にどれほどの説得力があるのでしょうか。そして、脱走兵運動で会ったチョムスキーが、ユダヤ民族を超えて、力を振り絞って発言をつづけていることに励まされます。


そして、広河隆一君をはじめとし、アラブの民衆と連帯する仲間がいます(朝日新聞18日、9日朝刊)。


私たちはどうしたらいいのでしょう。


アジア・アフリカ民衆と文学との交流、連帯を志した人びととも相談して、この問題を憂うる人たちに訴えます。


政治的組織もいまはなく、持ち場であったマスコミへの回路も減ったいま、私に、どのような手立てが残っているかさえ定かではありません。かつての同僚とも話し合って、少なくともみなさんのそれぞれの範囲で、声をあげ、なにがしかの行動を、各自でしてみようと訴える手紙を出してみようと筆をとりました。

2009年1月12

小中陽太郎(元アジア・キリスト教協議会議長、元日本アジア・アフリカ作家会議事務局長) 

小中陽太郎さんの著書のトークセッションが行われます。「ジュンク堂書店大阪本店」なので、関西方面の方はぜひともいらしてくださいね。とても興味深い内容なので、東京でもこのセッションが開催されればいいな、と思っております。(瀧澤陽子)





JUNKU大阪 トークセッション

2009123日(金)19:00

小中陽太郎著『市民たちの青春―小田実と歩いた世界』(講談社)

出版記念

告発か鎮魂か、議論沸騰

「小田実と歩いた世界」

語り手:小中陽太郎氏

聞き手:湯浅俊彦氏

          

★書評より:「小田実という巨人と同伴者として時代を疾走した著者との交流を描いた鎮魂歌。一気に読んで心を打たれました。」「人間・小田実の魅力と、小田が生きた時代を、小中陽太郎らしい自由な筆致で十分に描き切った傑作」(久恒啓一多摩大学教授)

★大阪市生まれの小田実さんを神戸市生まれの小中陽太郎さんが語るJUNKU大阪 トークセッションです。べ平連から今日のパレスチナ問題まで縦横無尽に語り 尽していただきます。

著者紹介

小中陽太郎(こなか ようたろう)

1934年神戸生まれ。

東京大学フランス文学科卒業。NHKディレクターを経て、著述活動に入る。ベトナム戦争中はべ平連(ベトナムに平和を!市民連合)の活動に参画する。その後、フルブライト交換教授としてアメリカ各地で教鞭をとる。日本ペンクラブ理事。

著書:『青春の夢 風葉と喬太郎』(平原社 1998)、『異文化・非言語・グローバルコミュニケーション』(平原社、1999年)、『ラメール母』(平原社、2004年)、『一人ひとりのマスコミ』(創森社、2007)など多数。

聞き手紹介

湯浅俊彦(ゆあさ としひこ)

1955年大阪生まれ。夙川学院短期大学・准教授。

 
 3階喫茶にて。入場料500円(定員40名)

 受   … 3階カウンターにて。電話予約承ります。

ジュンク堂書店 大阪本店

TEL 06-4799-1090 


ヨタロウ会-市民たちの青春


小中陽太郎先生の「市民たちの青春 小田実と歩いた世界」(講談社)は好評発売中です。たくさんの書評が届いているとのこです。小中先生にも、各メディアで取り上げていただいた書評をご紹介していただくことになっております。


早速、ブログ開設の日に「第五の騎手」さんという方から、感想文が届きました。開設日のブログのコメントをご覧ください。


ヨタロウ会の皆様、そして、小中先生とお付き合いのある方、また、一般読者の皆様にもご感想をいただきたいので、こちらのブログのコメント欄に残してくださっても結構ですし、メッセージボードに残してくださっても結構です。また管理人の瀧澤あてにメールをいただければ幸いです。



よろしくお願いします!

「ヨタロウ会の風景」



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(写真撮影は服部英樹さん)




12月27日午後6時半から、神田の居酒屋「樽平」で、小中陽太郎さんを囲む「ヨタロウ会」が開催された。今回は小中さんが上梓した「市民たちの青春 小田実と歩いた世界」(講談社)のミニ出版記念会も兼ねていた。


 35名もの参加者。かなり大掛かりで賑々しい会になった。

 「ヨタロウ会」の会長の元ポプラ社の名編集長・堀 佶(ただし)さん、平原社の社長のベン(渡辺勉)さん、小中さんの高校時代からのお友達の服部英樹さん、そのご子息の章君、元光文社編集長・浅井清宏さん、その奥様の弥生さん。弥生さんは健康食品会社のオーナーさんだ。アジア・アフリカ作家会議時代からのお友達の相原なおみちゃん、みや通信の坊野秀美さん、旅行作家で「停年オヤジの海外武者修行」の話題本を出版された近藤節夫さん、創森社社長の相場さんなどなど。

 会員以外では『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)で250万部以上の大ベストセラーを生んだ作家の樋口裕一さん、知研代表の八木哲郎さん、同じく事務局長の秋田英澪子さん、多摩大学教授の久恒啓一さん、日本ペンクラブ事務局長の井出勉さん、目黒区議で元芸能評論家の須藤甚一郎さん、演劇・映画ライターの木俣冬さん、学習院女子大教授で経済評論家の片山修さん、作家・登山家でいらしゃる穂高健一さん

などなど。


 司会はいつものように、適当でいい加減な幹事の私が務めた。33名ということで、それぞれの方のスピーチは手短になってしまったけれど、マスコミ業界で活躍する方たちのお話は新鮮だった。

 もちろん、主役は小中陽太郎さん。上梓された「市民たちの青春 小田実と歩いた世界」(講談社)の出版エピソードや出席者の方たちとの交流のエピソードなどを、面白おかしくお話になった。

 奥様のはるみさんは気配りの女性で、会の裏方の私の気持ちを一番に理解してくれる。幹事や司会は慣れっこになっているものの、はるみさんのねぎらいの言葉に、私は俄然やる気が出るのだ。

 お席が隣同士になった方たちは初対面でも、酒宴が佳境になると、もう旧知の友のようにフレンドリーになれるのも、この会の醍醐味だ。

 小中陽太郎さんは、「人と人との出会いを作ってくれる天才だ」と思った。

 「ヨタロウ会会報」の編集が滞っているので、これからは私のブログで、「ヨタロウ会」の報告をし、形として残しておくつもりである。


1月1日 元旦  



作家・小中陽太郎さんを囲む「ヨタロウ会」のブログを開設しました。



「ヨタロウ会」は28年間もの歴史があります。担当の編集者、同級生、お仕事仲間、お仲人をなさった方たちと、幅広い交友関係をお持ちになる小中陽太郎さんを囲む楽しい「会」です。



28年前まで、遡ることは不可能ですが、昨年末の「ヨタロウ会」を皮切りに、今後は「ヨタロウ会」の風景、小中さんの著作、近況などを、幹事の私が更新していきますので、「ヨタロウ会」の皆様、どうかご支援とご協力をお願いいたします。そして、「ヨタロウ会」の交流の場として、会員の皆様、ご関係者の皆様の近況やご活躍をお知らせいただければ、幸いです。コメント欄、メッセージボードでも結構ですし、私宛にメールでいただければ転載させていただきます。



小中陽太郎という一人の作家とそこに集まる人々の交流がこれほど長く続いている会は、稀有でありますし、人と人の交流が廃れていく中で、この会は非常に貴重であり、アットホームなものだと思います。



「ヨタロウ会」会員の方だけでなく、一般の読者の方にもこの会の素晴らしさも知っていただければ、管理人の瀧澤陽子はうれしいです。



2009年。

皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします!