義父母から、野菜が届いた。


 みかん箱よりは小ぶりの、抱えるには丁度いいサイズの段ボール箱。大手通販サイトの名前が書かれていた。娘がそれを言うと、〇〇じゃありません、と配達員の方は真面目に答えておられた。
 子ども達は、容赦なくばりばりと箱を破っていく。どちらかというと箱を何かに使いたいので中身を出したい様子である。くしゃくしゃの新聞紙を取ると、わあ、と娘が声をあげた。
 長いオクラ、いんげん豆、ズッキーニ、ピーマン、滲むような赤のミディトマト、プチトマト、きゅうり、ご当地ゼリー6個、小丸いかぼちゃ一つ、アスパラ、粒の大きいブルーベリー、にんじん、皮付きのとうもろこし4こ、韓国のり半袋。
 やったーゼリー、という息子の声に、じぃじ、ばぁばに電話してそれ言うてー、と言うと、夫が子機を手に取った。2回コールで、義母がでた。
 毎度のことだが、電話になると子ども達は口をつぐんでしまう。何を話したらいいか分からない。夫の、野菜届いたわー、の後、沈黙が続くのが嫌で、息子に、さっきの、ゼリーありがとう、言ってーというと、素直にそのまま電話口に向かって言った。その後は、娘達も、ブルーベリーありがとう、とうもろこしありがとう、と続き、受話器を渡しては一つお礼を言い、その都度義母が、はい、はいと答えて下さった。 もじもじした電話を終えると、子ども達は、ゼリーだけ冷蔵庫にしまって、めいめいの遊びに戻っていった。週末買い物したばかりで、この野菜達をどう収めようか、と悩む一方で、とうもろこしは、早く茹でないと、アスパラは肉まきが良いかな、などとウキウキしている自分もいた。

 晩ご飯。
 茹でたとうもろこしや菜葉。切って盛りつけたトマト。オクラのおかか麺つゆ和え。じゃこピーマン炒め。どんどんテーブルにのせていく。
「夏の食事やね」
 あまり手をかけてない後ろめたさもあって、何度も言ってしまった。トマトを食べると、畑で取った青臭さが鼻に抜ける。断面に緑と白の筋が、葉の付いていたところから深く入っていた。なのに、甘い。
 皆次々取っていき、あっという間に平らげた。残りは明日の弁当へ。


 次の日の朝。
 台所に立つと、窓からは白くさすような日差し。蝉のシワシワいう声。
 野菜一つ一つに刃を入れるたび、鮮やかな色が溢れてくる。湯がく時、鍋にバサっと入れる感じもいい。
 昨日の残りや、プチトマト達を並べて、弁当作りを開始した。