今回はアゼルバイジャンGPの各チームの分析をしていく。
今回は初めての9月開催とあり未知の領域の中でも気温は27℃前後、また以前と異なるのは雨が降る可能性が多少あったくらいの変化だった。
しかし路面が汚い影響でタイム自体には伸びを欠いていた。
その為皆がハードを残す選択をした為にロングランのデータがなくレースではハードを履いた際のパフォーマンスで結果に大きく響いたレースとなった。
「Red Bull」
レッドブルは今週久々にトップを争える車だった。
しかし予選では良かったもののレースではダウンフォースを多めにつけたことが裏目となり、ストレートでは前の車を抜くのに困難を極めた。
また前に車がいる際にダウンフォースレベルを高めたおかげでタイヤを守ろうとした戦略は上手くいった、しかしマックス・フェルスタッペンのラジオを聴く限りはブレーキでは苦しんでいた。
またフェルスタッペンはリアが跳ねるなどの状況を予選、決勝で訴えており最後のセッティングの変更でバランスが多少崩れていた。
レース終盤にはカルロス・サインツとセルジオ・ペレスが接触しリタイア、この事故によるVSCでフェルスタッペンはファステストを狙うチャンスを失い、マクラーレンにはコンストラクターズで遂に逆転された。
次戦シンガポールが過去あまり戦績が良くないことから苦戦が予想される。
その為今回のポイント獲得ミスは大きな損失となるだろう。
「Mercedes」
メルセデスは今週タイヤの熱管理に苦労した。
予選ではルイス・ハミルトンの車に顕著に現れ7番手、決勝はエンジンやセッティングの変更をした為ピットからスタートした。
そして後方からの追い上げでもハースなどの中段勢を交わすのにも意外と苦労しており今週は車が良くなかった。
しかしジョージ・ラッセルは終止安定した走りをしていたお陰で前のクラッシュて2台が消え、表彰台を獲得できた。
全体的にタイヤの熱問題に悩まされることがあるメルセデス、この問題が解決すれば更なるポイントを狙えるだろう。
「Ferrari」
フェラーリ、特にシャルル・ルクレールは今週神がかっていた。
予選ではQ3まで本気を出さず、Q3のタイムは2番手と圧倒的な差となった。
レースもペースは良く4度目の正直で勝利かと思われたがオスカー・ピアストリが14周目にピットインするもタイム差があったことからすぐにはピットインせず2周後にピットイン。
その結果ピットアウト後数周の間、ルクレールはタイヤが上手く動作せず苦戦している間にピアストリに抜かれた。
その後はダウンフォースを多くつけていたフェラーリの車はピアストリを抜くとこは出来ず、タイヤをタービュランスに長く晒し続け最後は離された。
一方カルロス・サインツは3番手からいいレースをしていたが終盤の2番手争いの中でセルジオ・ペレスと接触しリタイアとなった。
フェラーリが夏休み以降調子が良いことは間違いなく、コース上ではマクラーレンに次ぐいい車だろう。
次戦は去年唯一レッドブル以外の勝利を手にしたシンガポールの為期待大だ!
「McLaren」
マクラーレンはランド・ノリスが土曜日までは不調だったがレースでは凄まじい追い上げで4位まで帰ってきた。
またノリスは中盤までフェルスタッペンを抑え込みタイヤを痛めさせ、ジョージ・ラッセルにフェルスタッペンを容易に抜かせ、自身もファステスト連発の走りでフェルスタッペンを抜いた見事なレースだった。
オスカー・ピアストリもアンダーカットが上手く決まり勝利に繋げた。
予選では少し劣っていたマクラーレンの車だったが決勝でのタービュランスの中でのタイヤの持ちの良さはピカイチでタイヤに対して優しい車だという事を改めて痛感させられた。
「Aston Martin」
アストンマーティンは今週中段勢の中でもトップの力を持ち合わせていた。
しかしランス・ストロールはオープニングラップで角田裕毅と接触しパンク、その後コース復帰するもブレーキにトラブルを抱えリタイアした。
一方フェルナンド・アロンソは安定した走りで6位フィニッシュときちんとポイントを持ち帰った。
コースによってパフォーマンスが大幅に変わるアストンマーティン、またパフォーマンスが良くても上位勢とは差が大きくなっており26年に向けて開発を振る必要があるだろう。
「Alpine」
アルピーヌは今週災難な週末となった。
まず金曜日にはFP1でエステバン・オコンがMGU-Hのトラブル、土曜日FP3ではまたもやエンジントラブルで十分な走行できなかった。
予選ではオコンはQ1でタイヤがパンクし最下位で終えた。
一方ピエール・ガスリーは予選セッションで瞬間燃料質量流量制限を超えたとして失格となり決勝は最後尾からのスタートが決定した。
またオコンはパルクフェルメ下でエンジン交換を実施しピットレーンからのスタートとなった。
結果としてスタートポジションが悪く、レースペースもいまひとつの週末となった。
次戦以降はなかなか容易な戦いは予想しにくいが上手くセットアップを決めればポイント獲得できるだろう。
「Williams」
ウィリアムズは今週、昨年オースティン以来のWポイントを獲得し最高の週末となったが課題も見えた。
特に予選Q3ではアレクサンダー・アルボンの車の冷却装置を外し忘れアルボンは最終アタックに入れずに終わった。
レースでは中段勢の中が殆ど同じペースの中で安定して走り、特にフランコ・コラピントはタイムのアップダウンが少なかった。
後半戦になり好調のウィリアムズはこのまま調子を維持できればポイントを量産できるだろう。
「VCARB」
RBはダニエル・リカルドにも遂に新品のフロアが投入されたが結果はイマイチだった。
予選ではバクーを得意としている角田裕毅をもってしてもQ2止まり、レースではオープニングラップにランス・ストロールと接触しダメージを負った。
その後タイムが上がらずリタイアとなった。
一方のリカルドはハードタイヤで49周まで走り続けたが平均的なペースが悪くポイント獲得には至らなかった。
全体的にアップデートの結果が見えてこないRB、セッティングに関してもFP1で角田が文句を言っていた様にイマイチな所があるようだ。
次戦シンガポールも大幅な改善の見込みは薄くアメリカまで待つ必要がありそうだ。
「Sauber」
ザウバーは今週いつも通りの最後尾を走り、数少ない周回遅れにもなった。
もはや来年や26年に開発をシフトしているとされている為、今年はこれ以上の改善の見込みは薄い。
ただ一つ明るい情報を添えるならシーズン序盤悪かったピットストップタイムで今回のグランプリトップタイムを出したのは良かったことだった。
「Haas」
ハースは前戦イタリアでケビン・マグヌッセンが次戦出場停止の中、オリバー・ベアマンが代役を務め見事な走りをした。
ベアマンは予選、決勝共にニコ・ヒュルケンベルグを勝る結果になり、デビューシーズンにデビューから2戦連続で異なったチームからポイントを獲得した初めてのドライバーとなった。
またヒュルケンベルグも終盤までポイント圏内にいたものの、カルロス・サインツとセルジオ・ペレスの接触のデブリを拾いフロントウィングを痛めポジションを落とした。
レースペースは真ん中くらいのペースであり、中段勢としてみれば悪くなかった。
予選でもQ3に行けてればもっと違った展開になったかもしれないがチームとしては十分な結果だろう。
「総括」
全体的に上位、中段勢共にレベルが非常に高い争いになってきており週末の一つのセッティングミスで大きく結果に響くレースだった。
しかし上位と中段勢の差は歴然としており、ポイント圏内の8番手以降の2つのポジションを争う中段勢は常に熱い戦いが繰り広げられ、RBはその戦いから少し離れた位置にいるのが現状だろう。
次戦も市街地コースのシンガポール、高速化が去年からされまた湿度も非常に高い中で各チームどの様なアプローチをするのか楽しみだ。