あなたは成功したいか。
僕はしたいです。
成功したと言われる人々には、どんな共通点があるか。
成功に関する本はいくらでもあるが、本書のように仮説と検証を立て、それをもとに成功者についての法則を突き詰める本はそれほど多くない。
本書は確証に基づいた法則を書いているため、説得力があるし、単純に読み物としてもおもしろい。
いくつかの法則が書かれているが、まず一つ目は「マタイ効果」。
誰でも、持っているものは更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。
カナダでは、アイスホッケーはかなりメジャーなスポーツだ。
その選手のデータから一つの鉄則が判明した。
どの選抜チームにおいても、一月から三月生まれの選手が圧倒的に多かったのだ。
その理由は、カナダでは単に、同じ年齢の少年を集めてクラスをつくる場合に、年齢を「一月一日」で区切っているからだ。
つまり、日本で「四月一日」で学年が変わるのが、カナダでは「一月一日」だということ。
少年時代から始めるスポーツにおいて、数ヶ月の差は身体の発達に大きな違いを生む。
そして、その少し早く生まれたというだけの差で、選抜選手に選ばれる確率が高く、熱心な指導者に選ばれて優秀な選手となるのだ。
そして、その少年は上位リーグに入れる可能性が高くなり、どんどんその差は開いていく。
ベースボールリーグの場合、年齢の期日が「七月三一日」に設定されているために、8月生まれの選手が圧倒的に多い。
それは、スポーツに限ったことではなく、勉強などにおいても同様の効果が現れるという。
ただ生まれる日が違うことということだけで、その人生に大きな影響を生む。
これがマタイ効果だ。
次に「一万時間の法則」。
世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、一万時間の練習が必要である。
頂点に立つ人物は他の人より少しか、時々熱心に取り組んできたのではない。圧倒的にたくさんの努力を重ねている。
ビートルズとビル・ゲイツは天才だろうか?
もちろんそうなのだろう。
しかし、この話を聞いたらそれだけで済むことではなさそうだ。
ビートルズは、リバプールからハンブルグに移った際、あるストリップ劇場で一日に八時間も演奏をしていた。
それまで、リバプールではたった一時間ほどしかセッションをしていなかった。
週に七日、一日に八時間も演奏しっぱなしのバンドは、世界を探してもそうはいない。
しかし、ハンブルグではたった一年半で270晩、そして1964年に成功した時には、彼らはすでに1200回もステージに立っていたという。
ビル・ゲイツも、いくつもの幸機の連続によって一万時間を達成している。
最先端の端末が使える中学校に入学していたこと、真夜中でも常にパソコンに触れることのできる環境にいたこと、そして、生まれる歳も良かった。
1975年という、もっともパソコンが発展した時代にある程度の年齢になっていることは重要だった。
つまり、1954~1955年生まれが理想なのだが、ビル・ゲイツは幸運にも1955年生まれだった。
ハーバード大学を二年で中退して、自社を立ち上げたときには、ゲイツは七年間ぶっ続けでプログラムの開発に取り組んでおり、その時間はとっくに一万時間を超えていた。
ビートルズがそのストリップ劇場に行っていなければ、ビル・ゲイツが1955年生まれでは無かったら、もしかしたらこれほどの伝説的な成功を手にすることは出来なかったのかもしれない。
そして、それを裏付けるようにIQ195の天才(アインシュタインのIQが150だから30%も高い)が多くの環境的不運によって、成功には遠くかけ離れた、普通の農家として人生を過ごしているという例もある。
つまり、成功には環境はとても重要なファクターを占めることになる。
いつどこで生まれて、親の職業や家庭環境が、人生に大きな差をもたらすことになるのだ。
もちろん環境がすべてではないが。
ただ、「なにごとも一万時間の練習量が必要」という具体的な数字は、なにか僕みたいな凡人にも希望を与えてくれる。
あなたは何に一万時間を使うか?
―――本文より―――
成功とはまた、人間が自分のために行う決断や努力の単純な総和でもない。それはむしろ、ギフトである。アウトライアーは好機を与えられた者、そしてそれをつかむ強さと平常心とを兼ね備えた者だ。
作曲にしても、スポーツにしても、小説にしても、結局、技術が必要なものについての最低限の練習量は「一万時間」なのである。
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