勇気くんという19歳の男がフランスに旅立った。

 

19年間1度も海外に行ったこともない男である。

 

なぜ19歳にしてフランスを選び、旅立つことができたのか?

その物語のお話しです。

 

 

◆◆◆◆◆

 

勇気くんは学生の時にいじめられた。

何でも話せる友達もいなかった。

 

そんな自分を変えたくて海外に行きたいと思うようになった。

新宿にあるNICという留学のための1年間の英語学校に通い始めるも、

ここでもうまく馴染めず2学期で中退してしまう。

 

中退するかしないか悩んでいる時に

僕と勇気くんは出会った。

 

僕もNICの卒業生なので現役生の前で講演を依頼され、

その時熱心に聞いてくれていたのが勇気くんだった。

 

ハロウィンの仮装の時期だったので、ゆうきくんはワンピースのゾロに変装するべく、

髪を緑色に染めていた若者だった。

 

やる気がみなぎる感じで、

僕は「どんどん行こう」と言葉をかけたの覚えている。

 

講演後しばらくいろんな人と立ち話をしたのだが、

その時ずっと僕の隣に立ち、目をキラキラさせながら僕の話を聞いてくれていたのも勇気くんだった。

その姿が僕には美しく見えた。

なんと健気で素直で純粋で美しいダイヤモンドの原石なんだろう。

 

自分の本をプレゼントし、できる限りの励ましと応援の言葉をかけてあげた。

 

「陽介さんはかっこいいです」

そう真剣に言ってくれた勇気くんの言葉は、僕の魂の金庫に大切に保管されています。

 

そして時は進み、講演から半年後にゆうきくんからまた連絡があった。

「ちょっと話聞いてもらえませんか」という内容だったので、

新宿駅東口待ち合わせをポルシェカイエンで迎え、お台場までaviciiのthe nightsを最高の音響で聴きながらドライブし、権八でレインボーブリッジを眺めながら和食を食べ、いろんな話をした。

 

学校にいるか、やめるか。

海外にいくか、いかないか。

アメリカか、フランスか。

勇気君は進路が決まらず不安定な状態だった。

 

親に話しても否定的な事しか言わない。

何でも相談できる相手もいない。

そんな時に勇気くんは僕を誘ってくれた。

 

妻がフランスに詳しいので、持てる情報は全部あげた。

例えば、

・フランスのパンはマジ美味い。パンに限らず食のレベルが最高。

・冬寒いから、鬱の女性多いし、話すと長いから、巻き込まれないように。

・ルーブル美術館、建築、文化、最高峰の傑作ばかりだからしっかり学んできて。

・Ladureeのマカロン・ローズ味とアンジェリーナのモンブランは最高だから絶対食べて。

・子供のスリと軽犯罪には注意。お財布は慣れるまでは腹巻きタイプで。

・みんな自由だから自分も自由に生きてね

 

僕はロサンゼルスを激推しした。

・気候が最高

・外に出たくなる空気感

・エンタメはどれも最高級

・ドライブ最高

・夢を持って行動し続けたら必ず叶う場所

・車社会だから即車は買うように。

・ポケットにはいつも裸の$100冊を一枚入れておいて、脅されたらそれを渡すこと。

・危ないエリアには近寄らないこと

・英語上達の最高ルートは彼女を作ること。英語勉強と同時に彼女探しに突進しろ。

・国立公園が最高

 

などなど、

僕は自分が持てる限りの情報を勇気君に提供し、

可能な限りのポジティブで、元気で、励みになるような、背中を優しく押すような言葉をプレゼントした。

 

すると勇気くんの瞳がみるみる輝き始め、

心と体がすっきり浄され、顔が爽快になっていった。

 

「陽介さんのもとでアルバイトさせてもらえませんか?」と言う依頼もあったので、

プレゼン用のスライドショー作成と動画の字幕制作を5万円でしてもらったりしたこともあった。

 

そこから3ヶ月後くらいの2週間前、

勇気くんの家の近くに寄る用事があったので、

夜中1時に「突然だけど今近くにいるから、これから夜散歩でもどう?」とラインしたらオッケーしてくれたので、

2時間ほど夜の静かな公園を2人で歩きながら散歩した。

 

その時はゆうきくんは家にいたくなかったから、友達の家にずっと居候していた時で、

たまたま用事があって、家に二日間だけいたときに僕からお誘いがあったので散歩することができたらしく、タイミングもバッチリだった。

 

僕「最近調子どう? その後どうするか決めた?」

 

勇気くん「決まりました。来月からフランスに行ってきます」

 

僕「まじで!? 決めたの!? おめでとう! しかも来月ってあと2週間後じゃん。今めっちゃ不安と興奮が混じってる1番楽しい時で、一番最高の時で、一番青春の時で、一番味わい深い時じゃん!笑」

 

僕が逆にテンションが上がってしまった。

それほど素晴らしいタイミングで再会することができた。

 

東京の田舎の夜の公園はとても寒くて静かだったが

ゆうきくんと僕の体内の情熱は太陽のごとく燃えていた。

それがとても心地よく嬉しかった。

 

「陽介さんのおかげです」

その一言が嬉しかったし

 

「よし、また一人救った!」

と自分を褒めた。

 

彼は19歳で1人で初めての海外、しかも大人の街・パリに行くのである。

これがどれほどの衝撃と感動と驚きをもたらすかは僕は想像することができる。

なぜなら僕もそれを14歳で初海外・ロサンゼルスで体験したからである。

 

計り知れない衝撃だった。

天変地異が起きた。

そこから僕の人生は一変して好転した。

 

そして今日は11月2日、勇気くんがフランスに旅立って2日が経過した時である。

 

生きること、呼吸をすること、見える景色、歩く一歩、全てが新しく、全てが新世界で、中野さんにかまってる暇なんてありませんという状態だろう。

そっとしておいてあげよう。

そうゆう時は引いてあげて、引く美学を気品高く表現しよう。(日本の美しい美学だから)

きっとそんな生活を送っていることだろう。その先には希望しかない。最高しかない。

 

そんなワクワクと感動をバイブスを僕にくれてありがとう。

僕の夢を叶えてくれてありがとう。

 

勇気くんの才能はたくさんあるが、苦しい時に僕に出会うための行動をし、

そのチャンスをしっかり前のめりになって掴んだことが、勇気君の最大の功績である。

 

僕の学校での講演の情報に耳を傾け、実際に行ってみた行動力、そしてずっと僕の隣にいた行動力、

感動した素直な気持ちで僕と向き合い、僕にDMを送り、そのチャンスをだからこそ彼は大きな偉大なる一歩を踏み出すことができた。

そして今ではもう師匠の僕でさえ誰もたどり着くことができない新世界へ大きく羽ばたいている。

1人の芸術家として、1人の人間として、1人の先輩として、これほど嬉しい事はありません。

 

人類の魂の火を灯すこと

これが芸術家の仕事です。

 

「太陽のない時に、太陽を作るのが芸術家の仕事です」

フランス、ノーベル文学作家・ロマンロランの僕の大好きな言葉です。

 

そして今回また1つ僕は芸術家として素晴らしい仕事を成し遂げたことを誇りにし、

また次の素晴らしい傑作を作りたいと思います。

 

 

ゆうきくんは音楽にも興味があり、ギターを家で練習したりもしているし、演劇や俳優や映画にも興味があると言うことなので、

「じゃあ1回演劇体験レッスン行ってみたら?」

とお勧めしたら、本当に彼は自分で起こして体験レッスンを受けてみた。

「とっても楽しかったです」

その報告を聞いた時はとても嬉しかった。

 

人を動かすこと事は大変である。

僕の言う通りに彼が動いたことに喜んでいるのではなく、「やってみた」と言う財産を勇気君にプレゼントできたということが何より嬉しいのである。

 

勇気君がフランスでどんな経験をし、そこから何を学び、どんなふうに成長し、どんな夢を叶え、どこに行くのか、

全てが楽しみで仕方がない。

彼はもう大丈夫だ。

なぜなら偉大な一歩を歩んだのだから。

彼の一歩は偉大なる勇者の一歩であり、

偉大な芸術家の崇高な大傑作である。

 

もう心配する事はない。

彼は強くて優しい。

強い、優しい、器用、知性、天(4次元)、この5つがあれば最高です。僕は修行36年目ですがまだまだです。

どんな夢も叶うし、どんな幸せだって掴むことができる。

そんなことを勇気くんは僕に教えてくれた。

 

最後に、

「師匠への1番の恩返しは師匠を超えることです。だから僕を越えてください。超えれるものならね」

「越えてみせます」

その時の彼のまっすぐな瞳と硬く長い握手は本物だった。

彼の体内に強烈な太陽が美しく燃えていた。

その光は今後広がり、世界を救うだろう。

楽しみだ。

 

この先で勇気くんが体験することの中に失敗は1秒もない。全て大成功である。

一番の失敗は「やってみなかったこと」

やってみた先に失敗は一ミリもない。

だからやったもん勝ちなのである。やるしかないのである。やるしか人間の生きる選択肢はないのである。

確かに怖いし面倒くさい。だけどその先には最高の自分が待っているから安心していってください。最高しかありませんので。

 

勇気くんに見習おう。勇気くんの背中から学ぼう。勇気くんの後を追おう。

勇気くんは勇気を出してやってみたんだ。面倒くさいけどその一歩を歩んでみたんだ。

その先には成功しかない。

あー楽しみだ。

 

僕も負けてはいられない。

作業にとりかかろう。