普段から見慣れている・使い慣れているチケット屋について取り上げたい。節約できる金は大したことは無いのだが、そのビジネスモデルやあっと驚く使い方には興味を持てるだろう。

相当に安直な「XXXの経済学」というタイトル通り、内容はフランクに書いてまとめようと思う。ポイントを2点設けてみた。

A 多種・大量のチケットをどう仕入れているのか?
B どうやったらうまく使えるのか?


とりあえず本日はAについて。


A 多種・大量のチケットをどう仕入れているのか?
調べものをするにつれ、その広い仕入形態がわかってきた。逆に言えば、どのようなポジションの人が、どのように持ち込むのか、という点が分かる。ご自身にも関係があるかもしれない。

①個人より

 -1 自分で購入したり株主優待でもらったが、余って不要になったもの
 -2 アービトラージ(転売、中古本業界で言えば「背取り」)
 -3 サラ金の代替


こんな形態が主である。

圧倒的に数が多いのはー3と思われる。このカラクリは世間によく知られたところと思うが、要はクレジットカードのショッピング枠の現金化という手法である。流通性の高い新幹線チケットが多く用いられ、例えば東京大阪の指定席新幹線を10万円でカード購入し、チケット屋で9.5万円で買い取ってもらい当座資金を確保するという段取りである。安く買い叩けるため、売値も手ごろであり、サラリーマンが多く買い求めているようだ。
ちなみに、このような手法は、クレジットーカードの約款で厳禁とされているようだ。それを取り締まるのは難しいので、野放しになっているようだが。


このへんはナニワ金融道が絶好の教科書になる。多分、百回は読んだであろう、最強の漫画である。なんとなく修羅場をくぐってきた錯覚に陥る。
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②法人より
企業人の行動形態がもろに出るところが、法人からの買取りの面白いところ。形態としては以下がある:

 -1 経費で買って落としたものを現金化し着服 or 裏金還流させる (切手、商品券など)
 -2 営業ノルマ達成のために自爆する(旅行業なら旅行チケット、郵便局なら年賀状など)
 -3 主催者や親業者からノルマで押し込まれた下請け業者映画、ライブチケットなど


-1は背任というか、完全に資金流用という犯罪である。しかし、意外にこれはありえそうである。会社の内部統制において、切手や収入印紙を買ってくるところまでは内部統制が利いているが、あとの利用時・払出し時のチェックが無かったとすると、この手口にやられる。監査人も注意されたい。

-2、-3はかわいそうな例であるが、この市場規模も馬鹿にならないようだ。夏場の旅行チケット、正月前の年賀状については、チケット屋に並んだ商品達の出所はここかもしれない。