本日は目先を変えて、日頃から身近にある自動販売機について。

唐突なという感じも受けられると思うが、世間的には結構話題の存在である。今回のエントリーは何か意見を申し上げる、というようなものではなく、各種側面から論点などをまとめてみたい。

①市場規模
↓のHPにまとまっている。
一般社団法人 日本自動販売機工業会

資料によると、ストックとしての台数は飲料で250万・たばこ36万・玩具(がちゃがちゃなどか?)72万・その他合計で約500万台らしい。多く思えるが、この10年は5%程度の減少で、横ばいが続いている。台数の減少の主因は、スイカなど電子マネーの普及により、駅の券売機が減少していることが主因のようだ。

販売金額に目を移すと、飲料及びたばこが前期比4%増加している。前者は猛暑、後者はたばこ値上げが影響しているとのこと。

どうでもいい数字の羅列で恐縮であったが、自販機の台数や販売額の趨勢を知っておくと、何かの足しになるかもしれない(たとえば就職面接で、日本には何台の自販機があって市場規模はいくら位か、的な質問の対応として)。

②飲料メーカーの競争戦略
意外かもしれないが、自販機は飲料メーカーにとって実はドル箱市場であり、見えないところで激戦が繰り広げられている。

飲料メーカーの売上に占める比率は3割程度に過ぎないが、利益では4-5割程度に迫るとの統計がある。この数値から試算するに、仮に非自販機の利益率を20%とした場合、自販機の利益率は40%にまで跳ね上がる計算になる。ベンダー代金や電力料金、補充人員コストなどかかるものの、面倒な流通ルートは不要で販売人件費もかからず、ほぼ定価販売が可能なことが、高利益率の源泉であると考えられる。

ここで個々の飲料メーカーを見ると、自販機の得意不得意があり、その企業同士で再編が噂されていることが日経ビジネス3/7号で特集されている。相対的に得意なのが大塚製薬やDydo、不得意なのが伊藤園であり、伊藤園はその自販機に必死に目玉飲料を取り込もうと努力しているようだ。最近では子会社であるタリーズコーヒーのボトル缶や、前期の大塚のオロナミンCを伊藤園の自販機に取り込んでいくようであり、この盛夏の伊藤園の品揃えを密かにウォッチしようと思っている。

③電力消費
知事選のときの石原発言で悪者扱いされ、節電が必要と槍玉に上げられてしまったが、実は下記リリースの通り、節電策はとうの昔から実施されている。
清涼飲料自動販売機がすべて「ピークカット機能付き」の自動販売機「エコベンダー」化していることを発表

石原発言でもう一つ槍玉に上がったパチンコについては、自販機と異なる旗色は厳しい。定職の無い人や主婦のパチンカーは、昼間の楽しみが制限されるかもしれない。

④税務
無理やり会計周りに結び付けようとして、会計的には何の論点も無いので、税務で小ネタを。

有名なところで、過去にマンション業者による自動販売機導入による仮払消費税の還付テクニックが存在して、一大ブームを巻き起こしていたと記憶している。今ではこのスキームは脱法との批判を集めて、規制がかかっている。単年度で課税業者になったとしても複数年度でばらつきが大きかったら、過去の分は遡及して修正するような感時だったと思う。

合法的な節税策を最初に考える人は本当に頭が良いと思う。私も一生に一個でいいので、世に広まるような節税手法を編み出したいと、少しだけ思っている。