死にそうになった話 本章3 | 晴れ待ち日記(旧・波待ち日記)

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波を待ちわびながら、海や自然や毎日の暮らしを綴る。(写真:ビンギン/バリ)

「ここが駒沢病院ですが・・・」と言うタクシーの運ちゃんの言葉をさえぎって、「いいえ、もっと先のでっかい国立病院です!!」と突き進む。

 

「そこは国立第二ですけどねえ」・・・そう。電話を入れたのは駒沢病院。イメージしていたのは国立第二病院。そして国立大第二病院には電話など入れていない。

 

そして到着。

「そういう電話は受けていません」という冷たい対応をする時間外受付の人と押し問答の末、とにかく治療を受けることに。

 

救急外来の待合ソファーは、不安そうに待つ同伴者がポツポツと座っていた。

 

 

やがて呼ばれた僕は、診察ベッドで点滴を受けることに。自前の拡張剤は控えていたので、次第に呼吸がラクになっていく。

 

ゆとりが出てきた僕は、救急外来の様子を眺める。

怪我の処置を受ける子供、ベッドに横たえられたおばあさん。

 

点滴は、1時間はかかるだろう。

それまでには、時間がある。ちょっと眠ろうか・・・

でも、血管に空気が入ると死ぬって言うから、ちょっと注意しとかなきゃな。

 

・・・

 

そのうちに、ベッドのおばあさんに異変が起こった。どうも昏睡状態に陥ったようだ。

「○○さん!○○さん!聞こえますか!?」大きな声で呼びかける医師。「家族を呼んできて!」と言われたナースが待合室に走る。

幸いなことに意識が戻ったおばあさんは、そのままストレッチャーに乗せられて、集中治療室に行くことになった。集中治療室の準備を指示する医師、呼びかけ続ける医師。そして、おばあさん共に大半のスタッフが出口から出て行く。

 

あれ、さっきナースが「点滴、もうすぐですねー♪」って言ってなかったっけ?

 

点滴のバッグを見ると、ほぼ空っぽ。と、すぐにチューブの中を最後の液体が降りて来る。その上は空気

「看護婦さーん!!」

ナースが小走りでやってきて、チューブを指先でピタッとつまみ、液は止まった。途中にバルブも付いてるから空気が入ってくることなんて無いと思うけど、この時は心底怖かった。

  

そんなこんなで、ぜんそく(すでに肺炎)騒ぎは終了した。

 

 

ちなみに、国立第二まで付き添ってくれた人は、おばあさんの家族を呼びに出てきたナースの表情を見て勘違いし、またもや「死んだ?」と思ったそうだ。

 

 

次の年か、その次の年の冬、スキー場に向かう電車の中で肺炎になった僕は、雪山の医者に迷わずお願いした。

「点滴で願います。」