※2022年の話です


抗がん剤のインターバル時、腫瘍がまた成長し始め痛みや不安に悩まされる中、CAR-Tによる治療の準備のために千葉大にて白血球を取る処置を行いに行きました。自分の血液のインとアウト用の針を刺し、取り出した血液を分離器に接続し、そこから白血球だけを取り出し残りの血液を身体に戻す、という作業を延々と繰り返し行います。取り出した白血球はCAR-Tの薬を製造するアメリカの製薬会社にその日のうちに輸送され、製薬会社で白血球の遺伝子操作をし薬を作るのです。


当初数時間で終わると思われたこの処置、血液がうまく取れないなどの度重なるエラーで注射の位置を変えたり(もちろん、都度大きめの針をブスブス刺されます)試行錯誤。繰り返す抗がん剤の影響か、私の血管は細くなり中々血が取れないような状況になっていたのです。スタートから躓くような幸先が悪い状況で朝一からの処置は夕方まで続きましたが、何とか白血球を規定量取り終わりました。主治医からはこの処置の後はフラフラするだろうから気をつけて帰ってくださいと言われておりましたが、相変わらず体調は悪くなく、迎えにきてくれた妻の車に乗り帰宅しました。


あとは1ヶ月とちょっと待ち、製薬会社から薬がしっかりできたかどうかの報告を待ちます。そして問題がなければいよいよ入院です。もし度重なる抗がん剤の治療の結果、自分の白血球は薬を作るだけの品質がなかったら薬自体もできずCAR-Tを受けることはできません。


また、うまくいくことを祈ることしかできない日々でした。


そして1ヶ月と数週間後、結果を聞きに主治医に伺い、結果は成功でした。千葉大への入院は2022年の11月末となりました。ちょうどサッカー、カタールワールドカップの日程と重なるスケジュールです。日本の相手はほぼ勝ちが見えないドイツとスペインではあるけれども、入院中でも観戦できたらいいな。