ライブは続く。次第に熱を帯びながら。梅雨の不愉快な蒸し暑さを忘れるほどに。

英語の歌なので意味は良くわからない。曲間に簡単な説明もあるが聞いちゃいない。ただリズムの中で動き・歌い・指揮するこの若く美しい女の子に魅入られてく。

ライブは続く。アップテンポでごっついかっちょええ曲。たまんない躍動感。んん..っええ感じっ!高ぶる気持ち。あらぶる魂。リズムの中で僕もつられて足踏みならしてる....

......でせっかくええ感じやのにステージ上がなにやら慌しい。んん...なに???ステージ上のクワイヤーの皆さん...ばらばら客席に...降りくきる感じ...って。はっ..これやばいっ!あれやろ?さあみんなで~!みたいな流れちゃうん?あかんあかん。俺そんなんちゃうし!ええおっさんがまっぴるまから恥ずいっちゅうねん!

僕はあわててその場からの脱出を試みる。急げ~!会場の端っこに急いで撤収じゃあ~!..って....うっ!っつうう~~~....んんんん......っ忘れてた........

僕が握りしめているのはくそ重いカート!一週間分の食材と生活雑貨がこぼれ出さんばかりにてんこ盛りになってる欧米なカート!....これ抱えてこの人ごみの中をどないして逃げろっちゅうねん!躊躇してるまに、まわりのお客さんはするするとなにげに撤収を始めてる。そんな空気を知ってか知らずかまぶしい笑顔で迫りくるクワイヤーのおねいさん達!ああ..夜の銀座なら歓迎のこのシチュエーションも....

なすすべなくたたずむ僕を・僕を・僕を....................笑顔の輪が囲んだ...

頬を染てうつむく僕をぐるりと囲みながら、笑顔で歌うおねいさん達。ときおり地面を踏みながら、僕だけのめに笑顔で歌うおねいさん達。

こん時は、どこを見ていいのかわからないまま、早く終われと念じていたなあ...