外には極力出ないようにしている。

街に出ると、お金が減る、時間が減る、体力が減る。

というか、インドアが性に合っているみたい。

 

このエッセイは、2017年11月の作品です。

 

**************************************

インドア人間

 

 六十数年生きてきたが、親友なし、インパクトなし、厳しさなし。外に出るよりは、家で本でも読んでいる方が楽しい。人が大勢いると目が回る。人はおしゃべりが楽しいと言うが、私は頭が石になる。大勢の中では孤独感、ひとりの時は解放感。好きなスポーツはみんなインドア。好む趣味はみんなインドア。小学校の一年生から通知表の所見は「もっと積極的に」、先生たちは言葉を知らないようだ。学校は嫌いだ。今でも校門をくぐるのは嫌だ。人見知りが激しい。親睦会とやらで親しくなったことはない。ただ誰かが飲みたいだけだろう。頭脳明晰、容姿端麗、才能抜群、凄いとは思うが、なりたいとは思わない。だから、努力はしない。好きなことを一生懸命するのは努力ではない、好きだから。苦手なことを一生懸命するのは、努力である。でも、いくら努力しても一人前にはなれない。だから、そうすることはやめた。私のする事はすべて自分の為だ。他人の為にしたことはない。私の身長と同じように、この世の中では私はマージナルマンだ。流行は追わない。話題作は見ない。芥川賞・直木賞の作品も読まない。その時々で私のアンテナにひっかかったものしか読まない。本当は、読んでもその価値が理解出来ないのかもしれない。政治や宗教の話はしない。というよりも本音は言わない。討論は苦手である。理論で生きていないから。大きな声と理路整然は眉唾だと思っている。分からないという答えが一番信用できる。人生を舐めている。真面目な話と硬い話は苦手だ。いつも冗談と茶化す話しかできない。心を開くのは覗き見した後だ。距離感がない人間は鬱陶しい。自分のエリアには決して人を入れない。愛情もなければ人も信用できない。だから、ひとりになるしかない。

だけど、世の中に迎合しているインドア人間が、ここにいる。

*************************************

 

7年前だけど、何だか尖っている感じ。

今は、一人に違いないが、少し丸い感じ。

 

それも亦愉しからずやです。