今現在、ブライダルの仕事は、まだ続いています。

そして、結婚式の件数も2000件を超えています。

最近は、小さなお葬式も入ってくることがあります。

80歳前までは続けられるといいのですが・・・。

 

このエッセイは、2011年6月(平成23年)のものです。

 

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恋愛ごっこ

 

 還暦を過ぎたというのに、こんなタイトルのエッセイを書いていると、大向こうから「いよぉ!色きちがい」と声が飛んできそうだが、これもそれも余暇草メンバーを喜ばすための私なりの気遣いでありまして、決して色きちがいではないことをお断りしておきます。「そんなお気遣いは無用に願います」と今度は余暇草メンバーからお断りが入るかも知れませんが。

 さて、「ごっこ」というからには本気ではない。本気ではないけれども、本気の気持ちで恋愛を演じてみる。これは、相手には強要できないから、気づかれないように演じることである。もう六十過ぎると恋愛対象の人はいない。現実を直視すると恋愛どころではない。でも、二つの目にかけるフィルターは現実と妄想の二つを備えていた方が良い。現実に押しつぶされないように、そして、妄想に陥らないように。確実に年はとるわけだから、何事も衰えてゆくばかりである。でも、人を思う気持ちは衰えるどころか日増しに募ってくることもある。そこをうまい具合に利用すると楽しくなることうけあいである。

 私が、チャペルウエディングの司式の仕事を始めてから十三年ほどになる。千三百件以上の結婚式に携わったことになる。目標が二千件なので、後六年はかかる。つまり、二○一八年まではかかりそうである。結婚式を挙げる二人にはそれぞれに物語がある。今日(六月二十六日、日曜日、午後六時)の挙式は、三十代か或いは四十代の誠実そうな新郎と三十代の久本雅美のイメージを大人しくしたような新婦。新郎側の参列者はいない。新婦側の参列者はご両親と妹さんご家族三人(?)の五人だけ。退場前に新郎が泣きながら挨拶、海外で生活するらしい。私の妄想が始まる。新郎の家族が出席しないのはなぜ、二人の出会いは?何で海外?仕事は?判ったのは、現在フィリピンに住んでいて結婚式を挙げたら、また、フィリピンにもどるということだけ。これをまとめあげていたら、今頃は千以上の物語が完成しているはずですが、一つの物語も完成していない。

 自分が中心の恋愛ごっこも楽しいが、他人の恋愛を妄想する恋愛ごっこも楽しいものである。わずか三十分ほどの時間で得た情報の中から物語を展開してゆく。それができればもうとっくに作家生活を送っていることだろうが・・・。だけど、この妄想が私を若くさせているのかもしれない。(自分で言うな!) よぼよぼでは、この仕事はできないので、いつまでも若くしておくことは、私の中では死活問題なのだ。そして、また、私に与えられた至上命令でもあるのだ。

 

 「恋愛ごっこ」大好き。

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結婚式をあげるカップル一組一組に物語があるわけですから、

2000件以上の物語の一端を担ったわけです。

継続は力なり! ですね。

 

それも亦、愉しからずや です。