20数年続いた団地の文章講座も今年の5月で終わりました。

それに伴い「余暇草」も第41号で終了しました。

今年は、何だか終了を迎えたものが多い。

時の流れを思わずにはおれません。

個人的には、ライフワークとして取り組んでいる事があるので、

そちらに軸足を移していくことにしよう。

 

このエッセイは、2011年1月の作品です。

 

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     どっちが痛い?

 

 先日、T先生が小雑誌をプレゼントしてくださった。NHKで放送している〝こだわり人物伝〟のテキスト本だった。その中に、遠藤周作の〝沈黙〟に関する話が掲載されていた。遠藤周作が好んで色紙に書いたのは「踏まれる顔よりも踏む足も痛い」というものであった。

 

 数日後、或る会合での出来事である。

 「じゃ、わたしがその素案をまとめましょう」と私。

 「苦しい時は、言ってきてください」とS女史。

 「(言ったら)何をするんです?」と訝しそうに私。

 「楽にしてあげます。首締めて」と明るくS女史。

 冗談だから、笑ってその場は離れました。

 

 その帰り際、T先生が

 「森田さん」と呼び止め、

 「首しめられるよりも、しめる手が痛いのよ。お耐えなさい」

 これには、沈黙せざるを得なかった。

 

 こんなシュールな笑いがそのまま受け入れられるのも、十年近い付き合いのためか。余暇草の文章サークルは特殊な関係だ。普通のサークルでは、私生活まではほとんど立ち入らない。が、このサークルでは、立ち入らないけれどもおおよそ知っている。恐い気もするが、やはり楽しい。

 

 今年の秋で丸十年である。確実にレベルの階段を上がりながら、絆という帯でしっかりと結ばれているようである。 

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T先生も引っ越していきました。

以前から考えていたのでしょうが、私たちにとっては急な引っ越しでした。

いつまでも と いうわけにはいかないようです。