2022/06/30()

 

義父が天に召されてから、二か月近くが過ぎました。

葬儀から諸手続きまでほぼ済みました。

後は、納骨と相続登記と大物が残っています。

 

私が死んだ場合、誰も葬儀を取り仕切る人がいないので、

生きている間に、自分で取り仕切ろうと考えていました、

そんな時のエッセイです。

2008年平成20年の作品です。

 

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自葬マニュアル

 

 資産がある人は、年が改まると遺言を書き換えるようだが、これといった資産がない私は、せいぜい子供たちに相続放棄の話を伝えるぐらいである。資産の話は兎も角、年が改まると、そろそろ手をつけようと思っていることがある。死ぬ準備である。義父から「死んだらこうしてくれ」という話を聞いたのは、もう十数年前だが、ピンピンとはいかないがまだまだ元気である。私もその口なら死ぬ準備といいながら二十数年は生きるかもしれない。

 死ぬ準備と言うよりも、私が死んだ時には、このようにしてくれという淡い望みである。その願いをやり遂げるのは、まだこの世に生存している人間だから、私の願い通りにやってもやらなくても一向に構わないのだが、ひとつの道しるべ、選択肢のひとつとして目を通してもらいたいだけである。財産のひとつも残せない者が死んだ後を取り仕切ろうとするのは、甚だ忍びないのだが、人生の半分以上を特殊な世界に身を置いていた関係もあり、残った者が迷わないようにしたためるつもりである。

 まず死んだ場所が自宅か病院かで多少違ってくる。多分後者であろうから、病院ならば医者が臨終時間を宣告し、看護士らが手際よく整理し、遺体は地下の霊安室へ。やがて何処からともなく遺体を運ぶ車がやってくる。ここで賛美と祈り、賛美歌は新聖歌二四八番(人生の海の嵐に)。賛美の時はこれで通して欲しい。やがて家に到着し、祭壇が設けられるが、ここで業者の方がいろいろと言ってくる。うんうん頷いているととてつもなく高い金額になってしまうので、どんなに落ち着かなくてもきっぱりとこちらの思いを伝える。祭壇は家に小さく設える事。基本色は白で百合の花を多く飾ること。前夜式(お通夜)も告別式も家で自分たちで行うこと。その為のマニュアルもCDも準備しておきます。礼拝は、病院の霊安室、自宅に戻って祭壇を築いてから、前夜式、告別式、火葬場、自宅に戻ってから、納骨式と七回になります。

 さてさて、何回書き換えることやら。まずは、CDにどうやって録音するのか、それから学ばなければ・・・。

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今や、時代は進みました。

CDにどうやって録音するかと、考えなくても、ユーチューブがあります。

葬儀場所にもお墓にもスマホを持っていけば、可能となってきました。

素晴らしい時代です。