2021/12/22(水)

 

2006年の作品です。

昔の名前で出ています。

 

段々年を重ねていくと、クリスマスを共に祝う友が少なくなってきています。

自分自身も感動が希薄になってきています。

 

それでも、イエス様が共にいれば愉しいのです。

 

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 サンタさんはメル友  和田 義夫

 

 十二月に入ると子供のいる家は、どこもサンタさんの話題が少なからずあるようだ。ご多分に漏れず、和田家でも高一の娘、小羊里が何かお父さんに話しかけている。

「今年は、サンタさんに何たのもうかな」

 お父さんは、どうやら聞こえない振りをしているようだが、娘はしつこくつきまとっている。高一にもなって、サンタさんにおねだりするのも、どうかと思うが、この娘は至って真剣だ。

「エンドリケリーのCDがいいかなぁ」

 エンドリーケリーというのは、若者に人気のキンキキッズ堂本剛のソロ活動する時の名前だ。

「聞いてるの!お父さん」

「お父さんは、サンタさんじゃないから、直接言ってよ、サンタさんに」

「お父さんは、去年、サンタさんとはメル友だって言ってだじゃない」

「え?」

 昨日の事も忘れがちなお父さんが去年の事を覚えているはずがない。目が宙を泳いでいる時に娘の顔が割り込んできた。仕方なくお父さんは訳の分からないことを口走っている。

「あっ、メルアドが変更になってて、今は連絡取れないんだ」

「確か、ホットラインでもファックスでも連絡が取れるって、言ってたよね」

 その場限りの返事はしない方が良さそうである。お父さんには言った記憶がまるでないのである。どうやら小羊里山が義夫丸を土俵際まで押し込んだようだ。あと一押しされると残す腰もなく押し出されるのは間違いない。

「決まったらお父さんに言うから、ちゃんとサンタさんに連絡してよね」

 何で命令形なんだと思いながらも、またもや押し出されるお父さんだったのである。

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