第一印象の悪さは、私の不徳の致す

所か、それとも、見る目がない人の

多さなのか、はたまた・・

              

 何でもないような事が気になるものである。

あくまでも主観的なものだから、他人が同じような状況に出会った時に、私と同じ思いを抱くのかどうかは分からない。だから、この文章を読む人は、肯定も否定もせずにただただ受け入れて欲しい。こんな訳の分からない人もいるんだなぁという感慨ひとつ抱けばいい。

 私の家族の夏休みは、はなから計画ひとつ立てない。子供たちも波風ひとつ立てない。これは、子供たちが小さい頃から、そして、大学生と高校生になった今も変わらない。まったく変わった家族である。それは、私に休日がないということ、人ごみが苦手であるという理由などがあげられるが、基本的には、お金がないからである。不思議なもので、経済的に余裕がある時には平気で「お金がない、お金がない」と言っていたが、実際になくなってしまうと、恐くて言えなくなってしまった。

 今年もご多分にもれず、何の計画もない夏休みだが、ひょんなことから娘の買い物につきあうことになった。私の会社は、博多駅前4丁目にあるのだが、そこから歩いて五分程の所に「fanbI寺内」という店がある。この店は五階建ての自社ビルである。そして、誰でも自由に入れる訳ではない、会員制なのである。何でも安いらしい。卸価格で手に入るようだ。何を買うのかと娘に聞くと、日焼け防止の長い手袋に運動会用のタオルとペットボトルカバー。それだけならわざわざ博多駅近くまで来なくてもダイエーでもサティでも良いのではないか思うのだが、娘は安いし品数が豊富だからとのたまう。

 さて、話が前後してしまうのだが、「fanbi寺内」に入る時の事である。自動扉から入ると左手にコインロッカーがあり、それには私物を入れるらしい。正面の椅子には所在なげに親父がひとり。左側の方に買い物用の出入り口がある。娘の案内で入り口の所に行くと、地下鉄の改札口よろしくバーが行く手を阻む、フリーパスは出来ないようである。どうするんだろうと思案気な私は、ふとある視線を感じた。入り口にいる男性社員と女性社員。その四十がらみの男性社員が私の頭から足下までなめつくして、のたまわった。

「お客様、恐れ入りますが、この店は会員制になっていますので、カードが必要となります。お持ちでしょうか?」

言葉は慇懃だが視線は無礼である。

 「持ってますよ」

と殊更に冷静を装い手渡した。中に入ると娘がひとこと、

 「また、怪しまれたねぇ」

 そうなんです。初めて出かける所では、よく怪しまれるのである。これは、私の怪しさが滲み出ているのか、私を見る人が過剰に反応するのか、兎にも角にも私の人生ではよくある出来事なのである。ひょっとしたら私の心の隅に他人を信用しない思いがあるのかもしれない。

 

 追記

 「鼻で息をする者を信用してはならない」と聖書の中にある。鼻で息をする者とはつまり人間の事なんだが、その創られし人間よりも創りし神を信じなさいということだが、こんな所にも宗教的な匂いがするとは、私も早く新しい世界へと飛び抜けたいものである。こんなことをつい書いてしまうから抜け出せないのかもしれないが・・・。

 

      2007/08