2021/12/9(木)

 

家を建てるのは、勢いとタイミング、何だか結婚にも似ている

「家を持つと、すぐに子どもができるぞ」

「家を持つと、すぐに転勤の話がくるぞ」

先輩の話も気もそぞろだったが、二つとも当たってしまった。

子どもはともかく、転勤の話には、困った。

結局、家を売却して、赴任地へと移っていった。

確か、35年ローンだったので、今でも払っていたかも・・・。

売却は、正解だったかも、損失はほとんどなかったので・・・。

 

その頃を思い出してのエッセイです。

 

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設計ミス

 

 一九八五年の二月は雨が多かった。

 

 私は、その当時熊本で三年目の冬を迎えていた。結婚して五ヶ月で転勤、三年経ってもまだ子供には恵まれていなかった。昼働いて、夜は大学に通い、教会生活にボランティア活動、充実していた日々でもあった。そんな時に家を持ちたいという思いが忽然と湧き上がった。夫婦二人だから社宅生活も悪くはない。でも、湧き上がる思いを止めることは出来なかった。すると、自分の家のイメージがだんだんと具体性を増し、パンフレット集めに住宅展示場巡り、情報集めに経験者訪問。もう誰にも止められない状態になってしまった。

 そして、選んだのが熊本市から北へ十五キロ程の西合志町須屋という場所だった。社宅から車で十分程の距離だった。土地七十六坪、建坪二十五坪の平屋。私たちの希望を乗せて設計していただいた。満足のうちに契約し、基礎工事が始まったのが二月だった。

 実際に、自分の土地に縄が張られ、基礎工事が始まると、毎日のようにミニバイクで出かけた。雨が降ると「基礎工事の時期なのに」と心配で出かけ、晴れても「設計通りになっているかな」と出かけていった。ある時などは、どうも様子が変なので、設計図と見比べていたら窓の位置が違っていた。すぐに直してもらった。だんだんと自分の家が想像通りに形になっていくのは楽しかった。

 そして、私たちの希望を乗せた家は完成した。いよいよ引越しだ。引越し当日は天気もよく、何事も順調に進んでいた。ところが、寝室の方から業者の声がした。

「すみません。タンスが入らないのですが」

整理ダンスと洋服ダンスを並べて納めるようにしていたのだが、私の設計ミスだった。巾木の計算まではしていなかったのだ。希望を乗せた家は、音もなく崩れ去ってしまった。

 

夢の一歩手前までがどうやら楽しいようだ。

 

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家を購入する場合は、購入資金+1割資金が必要なようだ。

一軒家は、いろいろとお金がかかる。

今は、団地住まい、自主管理なので、みずからメンテする必要はない。

楽なような、それでいて、何か心配・・・。

 

一軒家がいいのか、団地がいいのか。私は、後者である。