大震災が発生して以降、広告業界は自粛ムードいっぱい。
皆さんご承知のように連日、AC(公共広告機構)のCMで埋め尽くされてしまったために辟易している人も多いだろう(念のために書いておくけどACには罪は無い)。
考えてみりゃ「無い無い」とパニック状態のガソリンを消費するクルマのCMなんて「不謹慎」て言われちゃいそうだし、避難所でひもじい思いをしてい人たちのことを考えると食品のCMも厳しい。計画停電なんていう時期に家電製品のCMも違和感ある(今日になって向井理クンが出てる薄型テレビのCMは見たが)。家屋を津波に流された人びとのことを考えると住宅メーカーのCMもつらい。
僕は昔、一年ちょっとという短期間だけど小さな広告会社に勤務していたことがあります。
そこでせっかくなので、というか、どうせだからこの際、広告のことを見直してみてはどうだろう? なんて感じたので、特に思うことが多いテレビCMについて書いてみます。
広告会社といっても社員10人未満の零細企業だったんだけど、それまで勤めていたのとは畑違いの業界だったんで、広告関係の書籍を読んで一応勉強はしたんだ。
で、ある本の中でとっても印象に残っていることなんだが、
「今や広告は脅迫に近い」
っていう内容のことが書かれてあった。
ピンとこない方はちょっと思い浮かべてほしい。
たとえばダイエット食品、健康食品や健康器具の類。
「これを食べて私もダイエットに成功しました!」
(体験者の感想であって、効果には個人差があります)
なんていうやつ。
そんなCMがあふれかえっているでしょ?
でもね。たとえばタレントさんだとか、モデルさんだとかって、痩せていることが仕事のうちであるわけじゃない? 一般市民にそんな体形は必要なのかぃ?
腹筋が6つに割れたムキムキボディーのカッコイイカラダだって、一般企業で働くサラリーマンにとって必要不可欠なものとは言えないでしょう?
それがCMとなると、まるで
「モデルみたいに痩せていないのは罪」
「割れた腹筋をしていないのはダメなカラダ」
と言わんばかりの謳い文句で宣伝してるでしょ。
一種の暗示というか洗脳というか、まるで催眠商法に近くて、あれはもう脅迫みたいなもんです。
※熊田曜子が「全然、運動なんかしてなくて」なんて言うCMがあるけれど、彼女が加圧トレーニングに励んだりしてるのは周知の事実。
かつら、増毛、植毛の類もそう。
コンプレックスを克服したいという人にはいいんでしょうが、湯水のごとく流し続けるCMは
「ハゲはこの世にいちゃイカン」
とでも言ってるかのようです。
たしかに民放の放送局にとっては広告収入が重大な財源。
けれども、そんな脅迫めいたCMなんてのはこの際、スパッ!と、やめてしまってはくれないだろうか?
同時に、広告を目にする僕たちも、そんな煽り広告に踊らされないようにしようよ。
てなことを今回、強く思っているのでした。