ある記事を拝見しました。
私はワタル商事オークションを利用して 4 年目になる、一人の収集家です。今回の記
事について、利用者側の立場から少し書かせていただきます。
まず、私はワタル商事オークションを利用する中で、分からないことがあれば普通に
オークション担当者へ問い合わせています。
専用 LINE で気になる商品の写真を送ってもらったり、商品の状態について確認した
りすることもあります。こうした問い合わせにも丁寧に対応していただいており、個人的には非常に助かっています。
そして、今回の記事を読んで一番疑問に感じたのは、「知識がない状態で高額入札をしてしまったこと」と「オークション側の責任」を、かなり混同しているように感じる点です。
古銭に詳しくない人が購入するのであれば、普通はまず PCGS などの第三者鑑定済みの
コイン、あるいは組合などの鑑定書が付いたものを選ぶのではないでしょうか。
もちろん、それでも最終的な判断は必要です。
分からないものについては、問い合わせる。
写真を追加で見せてもらう。
説明を確認する。
それでも判断できなければ、無理に入札しない。
私はこれを普通の収集家として当たり前のことだと思っています。
実際、私自身もワタル商事オークションを 4 年間利用していますが、分からないことを
担当者に聞いて「分かりません」と言われることもあります。
むしろ私は、その姿勢を信用しています。
何でも「本物です」「大丈夫です」と断言する人より、分からないものを「分からない」と
答える人のほうが、私は正直だと思います。
社長さんもまだお若い方ですが、私が知る限り、分からないことについて無理に知っ
たふりをするような方ではありません。だからこそ、私は 4 年間利用しています。
それと、私自身、足が不自由なので、毎回オークションワールドの支払いを済ませてから
横浜まで商品を取りに行くこと自体を楽しみにしています。
ただ、ワタル商事には階段があるため、私が取りに行った際には、いつも担当者の方がわざわざ下まで降りてきて、
商品を渡してくださいます。
これは業務として当然なのかもしれませんが、利用者としては本当に助かっています。
こういうところは、実際に利用している人間でなければ分からない部分だと思います。
もちろん、オークション会社に説明上の問題や明確なミスがあれば、それは指摘されて当然です。
しかし、オークション会社の仕事は、出品者の商品をすべて保証して、落札者の投資
判断まで代わりにすることではありません。
出品者には出品者の責任があり、オークション会社にはオークション会社としての責
任があり、そして入札者にも入札者としての判断と責任があります。
ここを分けて考える必要があると思います。
例えば、1,000 円スタートの商品に自分で入札を繰り返し、最終的に何十万円という
価格になった。その後、自分には真贋を判断する知識がなかったから、
「自分が高く買ってしまった責任をオークション会社が取ってください」
となるのであれば、それは少し違うのではないでしょうか。
競り上がった価格は、オークション会社が決めた価格ではありません。
入札者自身が、その金額を提示して成立した価格です。
もし「自分には知識がありませんでした」ということが高額入札後の免責理由になるのであれば、
オークションという仕組みそのものが成立しなくなってしまいます。だからこそ、知識に自信がない人ほど、
PCGS などの鑑定済み品や鑑定書付きの商品を選ぶ。
それでも分からなければ、事前に問い合わせる。
私はそれが一番安全な楽しみ方だと思っています。
そして今回の記事では、最終的に返品・返金対応までしてもらったと書かれています。
もし本当に「オークション会社が何も対応してくれない」「完全に放置された」という話であれば、
利用者として問題提起する意味も分かります。
しかし、実際には話し合いの結果として返品・返金に至っている。
それにもかかわらず、その一件をもって「コイン業界の本質」や、さらに出品者やオークション会社の悪意まで疑うような話に広げてしまうのは、
少し慎重になったほうがいいのではないでしょうか。
特に、記事の中では出品者について「悪意の無い方でよかった」とも書かれています。
それならなおさら、個別の取引で起きた問題と、業界全体の問題は分けて考えるべきだと思います。
4 年間利用してきた私からすると、分からないことを問い合わせれば対応してくれる、
写真をお願いすれば送ってくれる、分からないことは「分からない」と答える。
そして、足の不自由な利用者が商品を受け取りに行けば、階段を避けられるように担当者がわざわざ下まで降りてきてくれる。
少なくとも私が接してきたワタル商事は、そういう会社です。
今回の記事を読んで、「オークション会社がもっと初心者に分かりやすい表示をすべき」という部分については、
私も改善の余地はあると思います。
しかし、
「自分に知識がなかった」
↓
「高額で落札してしまった」
↓
「だから仲介したオークション会社が責任を取るべき」
という結論には、私は賛成できません。
むしろ、そこまで自分で判断して入札したのであれば、その判断にも一定の責任を持
つのが大人の取引ではないでしょうか。
古銭は、知識がないからこそ慎重になる必要があります。
分からないなら聞く。
それでも分からないなら買わない。
高額になるなら、鑑定済み品を選ぶ。
これだけの話だと思います。
オークション会社にも責任があります。
出品者にも責任があります。
そして、落札者にも責任があります。
誰か一人にすべての責任を押し付ければ済む話ではありません。
4 年間利用してきた一利用者としては、今回の件を必要以上に「業界の本質」にまで
広げるより、まずは「自分がなぜその商品に、その金額を入札したのか」というところ
も、一度冷静に考えてみる必要があるのではないかと思います。
少なくとも私は、分からないものを買ってしまったことを理由に、4 年間丁寧に対応し
てくれているオークション会社へ、すべての責任を負わせようとは思いません。
それが、私の一人の収集家としての率直な意見です。