産経新聞大阪編集局では、選りすぐりのアラサー女性記者たちによって今の日本の「いいもの」「素敵なひと」を女子目線でレポートします。
■空腹男子の心くすぐる一工夫
料理が得意ではない。「忙しい」を言い訳にほぼ料理をしない毎日だ。このままじゃまずいと思っていたところ、本屋で目にしたのが「Jリーグの技あり寮ごはん」(メディアファクトリー)。表紙の肉巻きおにぎりにクラッときた。ヴィッセル神戸の選手寮で実際に出されるメニューのレシピが載っているらしい。むくむく興味が湧いてきた。それにレシピ考案者の寮母さん、村野明子さん(44)の写真にびっくり。美人! きれいで料理上手な先輩女性にいろいろ教わりたい。さっそく選手寮に潜入し、インタビュー。いろいろ教わってきました。
--寮の中、きれいに片づいているし、汗くさい匂いとかしないんですね。期待と警戒をこめて来たのに(笑)拍子抜けです
村野 そうでしょ(笑)。私もどんなところかと思っていたんですよ。寮母になる前は、若い男の子たちが怖かったんです。サッカーに興味はなかったし、20歳くらいの男の子って、接点も全くなかったんです。
--どうして寮母さんに?
村野 「2002FIFAワールドカップ日本組織委員会」日本代表チームで仕事をしていた主人が、平成15年にコンサドーレ札幌に移りました。そのとき、私にも「若手選手の食事管理」という仕事依頼があったんです。びっくりしましたけれど、「まあ、自宅で料理を作るような気分で」というお話だったので、引き受けました。
--料理は小さいころから得意だったんですか
村野 いいえ。ずっと実家住まいだったので、お米もまともにといだことはありませんでした。結婚して主人から「おかずをいっぱい食べたい」とリクエストがあり、いろいろ作り始めると、おもしろいな、と。
◆自宅で8人分
--いきなり若い男の子たちに食事を作るのは大変だったでしょう?
村野 大変でした(笑)。引き受けたときはまだ寮ができていなかったので自宅で食事を出していました。
--何人分ですか
村野 8人分。大量にご飯を炊くため、炊飯器を3個、買いそろえました。コンロは3口しかないので、お肉は途中まで焼いて、選手たちが帰ってきたら野菜を加えてもう一度炒めるなど、時間を短縮、卓上コンロで煮物をしたりと工夫しました。
--栄養バランスにも気を使いますよね
村野 そうなんです。煮物を大皿で出すと、肉や魚は食べても野菜は残る。そこで、野菜料理を先にテーブルに出し、おなかをすかせた選手たちがつい食べてしまうよう仕向けました。
◆ワンプレート
--知恵比べですね。究極がレシピ本で紹介されているワンプレートスタイル。すべてのおかずを1枚のお皿に彩りよく盛りつける技ですね。苦手なものも食べてしまいそう
村野 思いついたのは、手抜きからなんです。洗い物がやたら大変でクタクタになりました。そこで、ワンプレートだ、と。
--食べる方はわくわく
村野 そう、お子様ランチみたいでしょ(笑)。盛りつけは、プレートを1枚の紙に見立て、そこに色を塗るように考えていきます。できあがると実力以上においしそうに見えますし。誰かが「うまそー」と言ってくれるとさらに励みになります。
--3年前にヴィッセル神戸へ。今は何人分の食事ですか
村野 多い日は50人かな。
--ご飯はどれぐらい炊くんですか?
村野 48~50合くらい。おかずが多いのでご飯は少なめ。でも、豚キムチとか、ご飯が進むおかずのときは油断できません。様子をうかがい、「もっと炊く?」と選手に聞きながら、追加で炊いたりします。
◆相手のために
--献立作りも大変そう
村野 冷蔵庫を開けて、何があるかな、と食材を見てから考えたり。結構、主婦感覚ですね。
--難しくないですか?
村野 自分なりのアイデアが浮かぶと、料理はどんどん面白くなる。理科の実験だと思えばいいんです。レシピ本などにとらわれないで、楽しんでほしいなあ。
--勇気が湧いてきます
村野 でしょ。あと大切なのは食べてくれる相手の存在。彼氏ができると張り切って料理するでしょ。
--ええ、たぶん…
村野 私の場合も、結婚したころは家族のため、そこに選手が加わった。若い選手たちとうまくコミュニケーションがとれなくてへこむこともあります。でもいつも笑顔で迎えて、おいしく料理を食べてもらいたい。私の願いです。
【プロフィル】村野明子(むらの・あきこ) 昭和42年生まれ、東京都出身。フードコーディネーター。平成15年から6年間コンサドーレ札幌の寮母をつとめ、21年から、ヴィッセル神戸の選手寮「三木谷ハウス」の寮母に。食事作りのほか、ズボンの裾上げなどの業務も担う。ヴィッセル神戸職員の夫、晋さんと、長男、長女の4人家族。23年2月、「Jリーグの技あり寮ごはん」を出版した。
◆社会部 西岡瑞穂「おいしいと言ってもらえるように」
実際にお会いした村野さんはうわさに違わぬ美人寮母さんです。でも、単にかわいい、きれい、なだけではなく、柔らかい雰囲気で周囲をなごませつつ、やるべきことはしっかりやるという大人の女性ならではの魅力にあふれていました。
食事をワンプレートに盛りつける方法も、少しでも良いものを生み出そうと工夫をこらして生まれたものでした。その姿勢、ぜひ見習いたいです。
料理は「おいしい」と食べてくれる人がいるからこそ、作るモチベーションも上がるというもの。寮母さんというプロの方でも原動力は普通の女性といっしょだと知り、何だか安心しました。私も誰かに「おいしい」と言ってもらえることを目指して、精進します!
【プロフィル】西岡瑞穂(にしおか・みずほ) 産経新聞大阪社会部記者。平成18年入社。千葉総局、大阪整理部を経て、昨年10月から大阪のキタエリアの所轄警察署や街ダネを担当。趣味は食べ歩きと映画鑑賞、ヨガ。大阪出身。昨夏に出雲大社にお参りしたが、まだ御利益はありません。
(この記事は社会(産経新聞)から引用させて頂きました)
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