この物語は 嫉妬の香り です 原作とは全く違う大人のイタキスドラマなので嫌な方はスルーしてくださいね


武人と琴子は、静かに、だが確実に距離を縮めていた
学部が違う直樹と顔を合わせることはほとんどなく、テニス部も休みがちにしていて
直樹と一緒だったバイトは武人と付き合うと決めた日に辞めていた

意識的に避けている――そう言えば簡単だが、実際は「見ないようにしている」だけだった


その日の午後、琴子は理美とじんこと三人で、大学近くのカフェにいた
甘い香りの漂う店内で、琴子はストローを意味もなく指先で回していた


「で?中川くんとはどうなのよ〜?」

理美が身を乗り出す

「順調なんでしょ?」

じんこが続ける

「……うん」

短い返事
二人は顔を見合わせた

「絶対なにかある」

「あるね」

琴子は一度、視線を落としてから口を開いた

「……次の土曜日、泊まりで行こうって言われた」

一瞬の沈黙
次の瞬間、二人が同時に声を上げた


「ええええ!?」

「泊まり!?」

はしゃぐ二人とは対照的に、琴子の表情は冴えなかった

「……嬉しくないの?」

じんこが心配そうに聞く
琴子はストローから指を離し、両手を膝の上で握った

「武人君ね……入江くんのこと、気にしてるの」

その名前が出た瞬間、二人の顔が真剣になる

「あたしが無理して笑ってるように見えるって……まだ心に入江くんがいるんじゃないかって」

理美はため息をついた

「そりゃね……片想い長かったし。色々あったし」

「簡単に切り替えろって方が無理だよ」

じんこも静かに頷く

少し考えてから、理美が言った

「……じゃあさ。本当の意味で彼女になれば?」

「え……?」

「中途半端だから、みんな苦しいんだよ。中川くんも、琴子も」

じんこが続ける

「中川くんはちゃんと琴子と向き合おうとしてる…。
入江君とは……正直、違うじゃん?」

「まぁ~今日はハッキリ言うけど…男と女が1つの部屋に居てなにもないなんて先ず有り得ないわよ」

2人は以前琴子が直樹のマンションに泊まった時の事を話していた

「そうだよ~だからさ、今回の泊まりで中川くんのものになって本当の彼女になりなよ」

2人の言葉は、刃物みたいに胸に刺さった
琴子は目を伏せた
心の奥で、ずっと絡みついていた影――直樹

『……そうだね…終わらせなきゃ』


琴子は自分のためにも、武人のためにもと思い決意をした



…………


その日の夕方、琴子は大学の裏手で武人を呼び止めた

「武人君……この間の返事なんだけどね…あたし泊まり、行く」

武人は一瞬、言葉を失った

そして驚いた顔をしたが、すぐに表情が曇る

「琴子さん……本当に大丈夫?
無理してない?」

その一言で、武人がどれだけ琴子を見ているかが分かる

琴子は何も答えず、ただ一歩近づいた
そして――唇を重ねた
言葉のない、静かなキス
武人は一瞬固まり、ゆっくりと琴子を見つめた

「……分かった」

それ以上、何も聞かなかった
その光景を、少し離れた場所から数人の男子学生が見ていた


「おい……見たか?」

「相原と中川だろ」

「マジかよ」

ひそひそと、下卑た声

「土曜に泊まりらしいぜ」

「やるってことだろ」

「ああいう女ほど、男を信じて簡単に壊れるんだよな」

男達の笑い声


その会話を、廊下の陰で――直樹が聞いていた
泊まり
キス
琴子とは、一度だけ唇を重ねたことがある
あの感触を、直樹は忘れたことがなかった

『……冗談だ』

そう思おうとした
琴子が自分から離れるわけがない
あれは自分を嫉妬させるための芝居

だが、武人と琴子が唇を重ねる姿が、何度も頭に浮かび

直樹は無言で男子トイレに入り、洗面台の前に立った
鏡の中の自分を睨みつける


ガシャン――


拳が、鏡を叩き割った
床に散る破片
指先から滴る血

「……まさか…違う」

低く、掠れた声

「あいつが……俺以外を選ぶわけがない」

歪んだ確信
割れた鏡の中で、直樹の目は完全に正気を失っていた



…………




そして金曜日の夜
琴子は入江家の門の前で、深く息を吸った

『あたしは……武人君の彼女』

そう思い込むように、心の中で繰り返す


「ただいま帰りました」

「お帰りなさい~琴子ちゃん!」

紀子が嬉しそうに駆け寄る

「あのね~琴子ちゃんに嬉しい報告があるのよ~」

「……なんですか?」

「実はねナイショにしてたけどお兄ちゃんが、今日帰って来たのよ」

「……え?」

琴子は耳を疑った、その時
階段から、ペタペタとスリッパの音


「ただいま」

直樹が、そこに立っていた

紀子の満面の笑顔
直樹の、静かな微笑み
琴子は目の前が真っ暗になった


「……嘘……」



つづく





このドラマのテーマソングは、
中村雅俊の【心の色】です




はぁ~(/≧◇≦\)


次回はアメンバー作品となります(笑)



ここから先は本当に読むのがしんどくなります
大丈夫な方のみ進んでくださいね♪




次回をお待ちください(* ´ ▽ ` *)



すみませんが。来週はお休みさせて頂きます