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遠州銀行本店

現:静岡銀行浜松営業部本館(2005.7.1~)
所在地      浜松市田町275 
竣工年      1928(昭和3)年6月3日竣工  1925(大正14)年9月18日起工
規 模      地上3階、延べ床面積2342㎡(約709.75坪) 
構 造      鉄筋コンクリート
様 式      ルネサンス様式(イオニア式オーダー)
設計者      中村與資平
施工者      清水組

現 況      
1945(昭和20)年に空襲の被害を受けたが修復され、ほぼ原型を保っている。不粋なアーケードがオーダー(列柱)を断ち切ってしまい、せっかくの様式建築の景観を損なっているのが惜しい、となりに8階建ての新館が立つ機会に不釣合いなアーケードも取ってもらいたいと思っていたら、2月はじめ竣工を目前にして撤去されていました。数十年ぶりにアーケードのない本来の姿が見られるようになりました。

その他
浜松の資産銀行(資産金貸付所)、浜松銀行、西遠銀行などに源流を持つ遠州銀行は1920(大正9)年に設立。
1943(昭和18)年に静岡三十五銀行と合併し、静岡銀行浜松支店になり、
2005(平成17)年7月1日静岡銀行浜松営業部になりました。

2003(平成15)年度第10回浜松市都市景観賞受賞。
2005(平成17)年度 浜松市有形文化財に指定
2006(平成18)年4月 新館増築着工
2007(平成19)年3月 新館竣工、本館改装完了。
2008(平成21)年2月 第18回BELCA賞(ベストリフォーム部門)受賞(平成20年度)
http://www.belca.or.jp/b88.htm

(以下第18回BELCA賞表彰理由から引用)
所在地 浜松市中区田町322番7 他
竣工年 1928年(昭和3年)
改修年 2007年(平成19年)
建物用途 店舗(改修前後とも)
建物所有者 ㈱静岡銀行
改修設計者 ㈱三菱地所設計(設計監修・工事監理)
清水建設㈱名古屋支店一級建築士事務所
㈱フィールドフォー・デザインオフィス(インテリア設計協力)
LIGHTDESIGN(照明設計協力)
改修施工者 清水建設㈱
川北電気工業㈱
日管㈱
 この建築は、昭和3年(1928)静岡で最初の鉄筋鉄骨コンクリート造の遠州銀行本店として建てられたが、昭和8年(1943)静岡銀行に合併され、後に浜松支店、現在は浜松営業部本館として機能している。すでに旧館本館は、平成18年に浜松市指定文化財にも登録され、市を代表する有形文化財として市民からも愛されている。
 本賞ベストリフォーム部門への対象は旧館本館のみとなっているが、新館共に相互の関係性はきわめて高い。その前提で評価することは避けられない。それは、隣接して増築されている地上8階建ての免震構造を採用した新館「アゴラ浜松」に搭載されている電算室、オフィスなど銀行としての高度化に伴う多機能性と合わせて、旧館のもつ歴史性や象徴性を担保しつつ、それとの一体性においてはじめて、このプロジェクトの意義の大きさが見えてくるからである。
さて、旧館本館については、その躯体の耐震性(Is値1.0以上)は、現行法規に照らしても問題ないことが確認され、大きく構造補強することなく、遠州銀行当時の歴史的雰囲気を内外装にも残して、本館の存在意義を現在に繋げている点である。その最も評価されるべき点は、発想の転換とその実効性への決断にある。新館「アゴラ浜松」との一体的な利用を図るために、旧館本館の中央の吹き抜け部分を営業室から来客ロビーへ、そして吹き抜け周りの低層部に営業室をコの字に配した逆転したプランに変更し、さらに新旧二つの建物の狭間には4層吹き抜けのロビーを新たに設けて、巧みな連続性を生み出し、両者を共存させている。そのことは、単に建築のアクティビティーの向上を図っただけではなく、それぞれの建築の持つ特性(歴史的価値、機能性、都市性など)を活かしながら、都市に開かれた活動を誘引する、大きな役割と魅力を創出することになっている。この発想こそが、この建築のリニューアルを成功させた原動力になっている。
これらの建築的変更を成立させるためにも空調の負荷特性,照明計画も大きく変更を余儀なくされることになったが、それぞれの特性を踏まえて,各空間の快適性を確保している。設備機器の設置については、増築により使用しなくなった入口の風除け室上部や窓台下などを利用し、極力内観に影響を及ぼさないよう工夫しており、さらに本館ロビーへの出入り口が、新館部分のエントランスと繋がるロビーから行われるため、空調の外乱を受けることを防ぐよう、2種換気とするなどのきめ細かい配慮がなされている。4層吹き抜けの空間上部で自然換気・通風を行える工夫をし、本館ロビー上部のトップライトは困難な修復をせず、大型照明器具を設置し、創建当時の天井を極力復元している。また増築部分の設備機器に関しても、すべてを新規のものにせず、使えるものは使うなど、適切な工夫がなされている。
その結果、全体として、よきDNAのきめ細かい保存再生の意義と新旧両施設の合体を成しえた最も有効な建築を創出している。
(引用終わり)