3年ぶりに「老人山の会」に参加しました。余りに久しぶりなので、マスクをした私達夫婦を見分ける事が出来ない方々が多かったと思います。後は新人のご老人が多いのには驚きました。その日の山歩きは高低差800m、距離10km程度でしたが、疲れました。御年82歳になる会長も参加していましたが、歩みが遅く予定通り下山できない可能性が有る為、会長は途中でエスケープルートを下山しました。その後リーダーが急に速度を上げた為、私は息が追い付かなくなり、足も疲れて座り込みたくなります。3年前までは私の後ろでハアハア苦しそうだった72歳のリーダーに、今は付いていけないのです。元々私達は高い山や困難な山を目指していたので、老人会の山登りにはめったに顔を出さなかったのも事実です。その3年間で平均70歳のこのグループの力が上がったと思えず、当然加齢により力は弱くなっているはずです。でも私はそれにもついて行く事が出来ませんでした。

 

下りになり息が楽になって来ると、リーダーが私に「肺を切っても平気な顔で登って来るね」と声を掛けて来ます。いや、本当は座り込みたくてしかたなかったのです、矢張り肺癌になると駄目ですねと答えます。他のメンバーが相変わらず健脚なのには驚きましたとも伝えます。心の中でずっと軽蔑していた老人会、簡単な山、高齢者ばかりのゆっくりとした歩み。そんな事が今は自分に返って来ます。あんな健脚だった方が苦しそうにしている、私達より若いのに、やっぱり癌になると駄目ね、そんな声も聞こえて来そうです。会長の歩みが私にもピッタリ来ていたので、自分の心肺能力、筋力は82歳程度か、そんな事も頭に浮かんできました。

 

どんな事も人を軽蔑してはいけません、ある日それは逆転してしまいます。後ろでハアハア苦しんでいたご老人の後ろで今度は自分がハアハ苦しむ事になるのです。それを学んだ一日でした。帰りに中央線沿線の駅で降り、皆でビールやレモンサワーを飲みました。そして又電車に乗り自分の駅に降り、歩いて自宅まで帰ります。自宅に着くと今まで平気だった体がおかしくなっていきました。息が切れ、心臓がドキドキし始め、目の前が暗くなり貧血症状が出てきたのです。ソファーに座ってもいられず、思わず床に伏してしまいました。1時間ばかりすると落ち着いたのでシャワーを浴びたのですが、その後再び症状がやって来たので、こりゃ駄目だと思い寝室に戻り寝てしまいました。

 

全てが上手く行かず、現実を突きつけられた一日でした。でも翌朝何故か気持ちが清々しく、生き返った様でした。昨日は幸せだったのかな、不幸だったのかな、良く分からないけれど、まあ良いや。そう思い、又忙しい一日が始まります。何も他人と比較しない一日の始まりです。