御伽草子 一本菊(ひともとぎく)下-19
(・・・兵衛のすけ殿の。おもしろく)
ふき給ひし物を。いかなる所にて。いかになれ給ひにけん。とにかくに
心うやとて。二人 おふぢを御らんじて。なき給ひけるに。うへのかた
より車の をと。のどかに聞え。ふゑのね。ちかく成ぬれば。さも兵
部卿のみやの。御ふゑのねに。にさせ給へる物かなと。心をしづめて
きゝゐれば。ふえ。うちずさみ らうたき御こゑにて。月はくまな
く てらせども。ともにながむる人はなし。あはぬものゆへ 夜もす
がら。わりなき 恋にほだされて。たいあ(お?)んとうを たづねんとて
月に のりてぞ ゆきかへる。と。ゑいじ給ふを 聞ば。宮の御こゑと聞
なしつゝ むねうちさはぎけり。宮はおぼしめし しづませ給ひ
て。はせに まいらせ給ひて。此ひめ君の事。七日 いのらせ給ひける。
御下向成 四条のかたをぞ 御ゆきなる。ときはも 馬のうへにて。御
ほだされて=情に引きつけられて、心や行動の自由が縛られる。
たいあ(お?)んとう=不明、左に原文、本文はアンダーラインの所
ご指摘があり、「おおみどう・大御堂」とします。
つきにのり〔月に乗る〕=月に乗って遊ぶ。月の面白さに浮かれ出る。?
はせ=何所の「はせ」??大和の「初瀬」「長谷寺」??
宮は「はせ」で、お籠り。
その帰り道のようです。
いよいよ、ご対面か!・・・(:>_<)♡♥(>_<:)
月は隈なく 照らせども。共に眺むる人はなし。
逢はぬものゆへ 夜もすがら わりなき恋に絆されて
たいお(あ?)んとうを訪ねんとて 月に乗りてぞ 行き帰へる。
↑出典、教えてたべ~~??
コロリン師匠
別訳:中々難しくて、読めん。誤刻ありかな??47/57
・・・扨も宮は大和の国 初瀬(はせ)の
くはんおんに 七日参ンろうあそはし 姫君の御
事を いのらせ給ひ 御下向まし/\けるか ひるは
人めも つゝましくとて 淀のあたりにて 日
をくらし給ひ 御供の人々をは はるか御跡に
しのはせて なまかんたち 十き はかり召くして
四条辺を くはんきよ有 御車迄 打落? 月
くまなかりしに 御笛 ふきおさめさせ給ひ
いとあてやかなる 御声にて いかに ときは 月
影は ありし 昔にかはらねとも 我涙にくも
るらんと 仰けれは ときは 御車近く 馬うち
よせて いのるしるしの はつせ山と詠し 事の
御さ候へは いかて むなしく候へきとゝ 申あ
くる・・・