一本菊 中-33 | コロリンの御伽草子-2

コロリンの御伽草子-2

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御伽草子 一本菊(ひともとぎく)中-32

(・・・ごせ かならずと かゝれたり。宮は)
是を御かほに をしあて。たえいり。なげき給ふ。なれし名残の お
しければ。今夜は こゝにて夜をあかさばやと おぼせ共。はりまの
三位 おこがましく。院中にて。いひわらひなんも はづかし。さらば
かへりなんとおほしめし。夢の心ち し給ひてかへらせ給ふ。御心のう
ち申につけて 中/\ をろか也。宮す所に入せ給ひて。夜るのしとね
に ふせ給ひて。そのゝちは。おきもあがり給はず。ぐごも とゞま
り給ひぬ。ありがたかりし 御おもかげ。御身をはなれ給はず。あけ
暮。忍ひ/\落 御なみだ。をとなしの滝とみえ給ふ。しかも たゞ
ならずと きゝつれば。めてたくうれしとこそ思ひつる。やみの夜の に
しきと。なりつる事の くちおしさよと。なげかせ給ふぞ あ
はれなり。はかなくも そのとし 暮にけり

ぐご=供御、天皇の飲食物、時には、上皇・皇后・皇子の飲食物をいう語。
  武家時代には将軍の飲食物をもいった。
をとなしの滝=音無の滝、三千院の背後、小野山の中腹から落ちる幅3~4mの美しい滝。
  聖応大師が声明を滝の音で消されないよう呪文を唱え、水音をとめた。
めてたくうれし=傍目には「めでたく嬉し」とうつると言う意味か?
やみの夜の にしき=闇夜の錦、暗い闇夜には美しい錦を着ても人には見えない。
  むだなこと、無意味なこと

是で「中巻」おわり。
以後「下巻」へと、続く。
兵衛のすけ、妹の姫・・・
助けられるのでしょうか?
どう事態が進展するか?
お楽しみに。
コロリン師匠