御伽草子 一本菊(ひともとぎく)中-11
(・・・我が身さへ ながされまいら)せて。鴬の。はねもおれたるこゝちして。ひとりふる よにとゞまりて。なげき候はんのみこそ。みちのさはりとも おぼえ候へ。をそれにて候へとも。しかるべきより御めも かゝり候が 又たのむかたなき人にて候へば。ふひんに させ給ひ候はゝ。それこそ後世まても うれしくおもひまいらせんと申せば。宮 御なみだを ぎよいの袖にて。しかるべくてやらん。見そめしより。おろかにもおもはねば。ひめ君の事は。心やすくおもふべし。さりとも命あらば などか さてしも はつべき。われ世中にあらんかきりは。しめじが原と たのめよ。たゞいまの わかれこそ かなしけれと。おほせありければ。兵衛のすけ の給ふやう。さて
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ぎよい=御衣おろか=疎か、言うまでもないことである。
いいかげんに扱うさま。おろそか。
しめじが原=標茅原、栃木市の北方にあった野原。「頼む」に掛かる歌枕
なほたのめ しめちかはらの させも草 わか世中に あらんかきりは
〈新古今・釈教1916〉
宮の心強いお言葉。
何となく先が明るくなってきました。
「標茅原」の「標」は、
「標の内」と言うように特定の区域内を指す。
頼みになる標の内の茅原という意味もある。
コロリン師匠