一本菊 上-5 | コロリンの御伽草子-2

コロリンの御伽草子-2

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御伽草子 一本菊(ひともとぎく)上-5

(・・・たのもしくおぼ)
すに。ぜんぜのほうや やすかりけん。ちゝ大臣殿いならぬ御心ち
日をへて なやみまさり給ひて。つゐにはかなく成給ふ。かゝりけ
れば。兵衛のすけ殿よて。ちやく/\にて。うだいじんどのゝ。あとを
つぎ給ふべきに。たうふく。しゐの少将に をしとられて。さきの
みやばらの きんだちは。数にもあらず成給ふ。されども なまじひに。
てんじやうに まいり給ふ。兵衛のすけ。あはれしゆつけをして。さん
りんにまじはり。父母のごせ ぼだひを。とふらはゞやと思へ共。たゞ
いもうとのひめ君の事。心ぐるしく。今は父母もなし。われより外
は 又頼人もおはせず。誰に心やすくあづけをくべき人も おはせ
ずして。心ならず。てんじやうに みやづかふ。明ぬくれぬとするほ
どに ある年のなか月の十日あまりの比。兵部卿の宮の御門に。菊

ぜんぜのほうや=善逝(ぜんぜい)の方や、煩悩を断って悟りの彼岸に去った方が。
いならぬ御心ち=例ならぬ御心地、病気である。また、妊娠している。「れ」脱字でした。
ちやく/\=嫡嫡、血すじの正しい嫡子から嫡子へと代々家督を伝えること。
   また、そのような家柄。そのような正系を受け継ぐ人。正統の血脈。嫡流。
たうふく=当腹・とうふく、現在の妻の腹から生まれたこと。
しゐの少将=後妻の子供、異母弟(ははのことなるおとと)
なまじひに=生強ひに、中途半端に
しゆつけ=出家
明ぬくれぬ=夜が明けたり、日が暮れたりして。月日のたつさまをいう。
なか月=長月、陰暦9月の異称。

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「ぜんぜのほうや」で、苦しみました。
「善逝(ぜんぜい)の方や」で、スッキリ。
言葉を知らないと、まったく分からん!
良い修行です。

兵衛の助は、嫡嫡ゆえに家督を継ぐべきなのに、
押しやられて冷や飯を食うハメに。
嫡嫡」と言う言葉も初めて知りました。
後妻による継子イジメですね。
ここで新たな登場人物「兵部卿の宮」登場。
どんな役割をするのんでしょう?
「菊」の文字も出て来ました。
どうなるでしょうか?
コロリン師匠