一本菊 上-1 | コロリンの御伽草子-2

コロリンの御伽草子-2

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御伽草子 一本菊(ひともとぎく)上-1

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一本菊(もときく)  上

むかし。天りやくの御門の御時。三条たかくらに。右大臣殿
と 聞えし人おはしき。院中の御おぼえかしこく。ときめき給ふ。
そのきたのかたも。なべてならぬ人にておはします。ふるき御
みかどの御むすめ。式部卿の宮とぞ申けり。いかなりける ち
ぎりにや。右大臣どのまいり給ひ。若君一人 ひめ君一人 おは
します。若君をば七歳より。てんじやうさせ。かふり給
て 兵衛の助とぞ申ける。ひめ君。かたちよりはじめて此世
人とも おぼえず。まことにいつくしくおはしければ。いかにも
かしづき。きさきにも たてまつらんと おぼしめしける。か
りけるほどに。しやうじむじやうの ならひ。ろうせうふぢや(う)

天りやく=天暦、平安中期、村上天皇の時の年号。
三条たかくら=三条高倉、京都市中京区三条通の辺り
なべてならぬ人=並べてならぬ人、なみなみでない人。
式部卿の宮=右大臣の(先)妻
兵衛の助=右大臣と式部卿の宮との間に出来た子供
てんじやうさせ=殿上させ、昇殿させ。
きさきにも たてまつらん=御門の妃にも奉らん。
しやうじむじやう=生死無常、人の生死の無常であること、人生のはかないこと。
ろうせうふぢや(う)=老少不定、人の生死は予測できないもの。
   人の寿命に老若の定めのないこと。

一本菊(ひともとぎく)を、始めます。
解説書も、出版された本も有りませんから、
かなり苦労するかも。
そして、非常に長くかかると思います。
長編大作です、上中下巻あります。
話としては、名前が紛らわしいので、
そこさえ押さえれば、大変おもしろいと思います。
お付き合い下さい。
コロリン師匠

現代文が「あふみ」さんによって完成いたしました。
ぜひ合わせて御覧ください。