小 町 草 帋
(・・・かきつけし。ふて)のあとにみえぬべし
身つからも。千人と しるしたり。これみな いつはりの なさけなり。まことに まうしうの くもはれにけり。などか じやうぶつならざらんや。されば 世の中の。さだめしことは。さだめありと むばたまの。夢に つたはりたる ことはり。あけくれ 思ひすつる ことのは。たれかは おいの●(さ)かを こえざらん。のがれべきみちも なし はなも さす
千人=奈良絵本「磯崎」では、業平は、「三千七百卅四人」
仮名草紙「女郎花物語」では、業平は、「三ぜん七百三十三人」
まうしう=妄執
むばたまの=射干玉の、〔枕〕「ぬばたまの」の変化、
ヒオウギの種子。丸くて黒い。うばたま。むばたま。
「ぬばたま」のように黒い意から、「黒」「夜」「夕」「宵」「髪」などにかかる。
いい男も、いい女も、
「誰か、老いの坂を越えざらん」
老いても朽ちない魅力を、
考えさせられます。
業平、少し人数、減ったようです。
それにしても、
「偽りの情け」とは、随分です。