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小 町 草 帋
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(・・・わが身のうへと お)もひつる。いつまで いのちの つゆ。くさの いほりに やどりして。むかしを しのぶくさの。かきに しげく 露の。おちふれいでたる。わがみかなと すゞりを ならし。筆を そめて。もしほぐさのすけるみちとて。八そぢあまりにて。かきあつめたる。みつぐきの。あと はかなく。なりゆく世の中に。ながらへはつべき。身ともなきに なとかは 人の。
ねがはざるらん。しらずして つもれることは つみのわさを。しづのめが。あくるをも しらず。たゞ いたづらにとし月を。つくもがみの。われらが ありさまは。かほどにうぐひすの。ねに はやなつに うつりきて しだいしだい。よはりはてたる身なりけり。さりながら。こゝろははなになりにけり
いつまで いのちの つゆ=いつまで儚い露のような命
かきに しげ/\=垣根に(忍ぶ草)茂って
おちふれいでたる。わがみかなと=落ちぶれ出でたる我が身かな
すゞりを ならし=硯をならし、平し・均し?
もしほぐさ=藻塩草、掻き集めて潮水を注ぐことから、
和歌では多く「書く」「書き集む」にかけて用いる。
すける道=助ける道
八そぢ=80、80歳
みつぐき=水茎、筆、筆跡、手紙、便りなどの意味
ながらへはつべき。身=長らえ果つる身
ねがはざるらん=(後世を)願はざるらん、願わないのであろうか?
しづのめ=賤の女、ここでは知らず/\積もった罪を負った女
つくもがみ=九十九髪、「百」の字から一画とりされば「白」の字となり、老女の白髪のこと。
こゝろは はなに なりにけり=古今仮名序から、
「今の世中、いろにつき、人のこころ、花になりにけるより・・・」
小町の美しく華やかなところは、
作者は、一切興味が有りませんね。
ウグイスは、春告鳥(はるつげどり)。
ホーホケキョの鳴き声が、
夏には衰えます。