(前回(その1)からの続き)

 

【各モデルについて】

ロングセラーだけに以下のモデルが存在します。

またノーマルモデルの部分に4000sの詳細解説を入れておきます。

 

 

●EWI4000s(初期ロットモデル)

2006年4月

「EWIガチャのSSR」と称されるサイドパーツが鏡面仕上げのモデル。当初の予定ではこの仕様で発売されるはずだったが、コストや製造時間、歩留まりに難があり、途中から梨地加工されたものに変更されました。

通常楽器の場合最初期ロットの数は絞る傾向(売れるかどうか分からないし)にあるため、恐らく数十本しか世に出回っていないと思われる超激レアモデルです。

当時はそんな情報も無く、納入は当時ウィンドシンセの聖地として名高かったイシバシ楽器にのみ行われたため、入手時期が同じであってもこれを引くには相当な強運が試されました。今でも高額で取引されてる一品です。

写真を見て分かる通りの光沢感がたまらないです。

 

 

●EWI4000s(ノーマルモデル)

2006年4月(初期ロットと同時発売)

EWI初のデジタルモデルです。

コントロール系は従来のEWIそのままに、音源とエフェクターが内蔵され、一本あればそのまま使える「オールインワン」になった初のモデルとなりました。

 

従来のユーザからしたら不安がいっぱいだったのを覚えていますw

ウィンドシンセと親和性の高いアナログシンセがデジタルになってスポイルされるのでは無いか(これはDSPシンセが普及したてだった事による情報の少なさも)、エフェクターなんて本来外部で好きなのかけりゃいいから不要だろ、長くてデカくて重い(楽器フェアで持った者の感想)、エディットはPCが無ければ出来ない、EXT.INが無い・・・等々、頭の硬い連中がギャアギャア騒ぎます。

・・・まぁその先頭立ってギャアギャア言ってたのはよしめめなんですがw

 

しかしながらデジタル化に踏み切った当時のAKAIの英断は間違っていなかったと今では確信しています。

デジタルならではの安定性と可搬性は他に類を見ず、電池駆動による取り回しの良さは、今まで「一部の好事家たちの楽器」であったウィンドシンセを一気に一般化する事になりました。

 

それまで散々仲間内で「EWIを普及するためには」と言って音源をどうする、機能をどうすると喧々諤々議論をしてきましたが、4000sを様々なシーンで見るようになり、「あー、結局可搬性が一番だったのね」と納得したのを覚えています。

 

なお「EWI4000s」の「s」は「サウンドの“s”」だそうです。

音源が内蔵された事を前面に出したかったのでしょう。

 

音色は01~80がプリセット。81~100(00)はユーザがプリセットを残したまま保存出来るよう01~20がダブってストアされていました。ちなみに01~80も上書き可能です。

 

また、新たにホールド機能とオクターブ機能が加わり、表現の幅も増えました。

 

実は細かい仕様変更が繰り返されており、ファームウェアの更新もちょくちょくされているため相関関係が分かりにくいのですが、大きく分けて「前期・後期」で分けられると思います。

特徴としては、

 

▼前期-最初期型(便宜上前期とも若干違うのでこう記します)

ブレスのドン付き(吹き始めにパコンと音が出る感じと言えばいいか)が顕著で、タンギング時のパツパツノイズが大きい。ヘッドホンアウトからは常時「ちゅみ~~~~~ん」と言うノイズが出ている。

 

実はこのブレスのドン付きのイメージが強く、よしめめは4000sを毛嫌ってメイン機として使ってきませんでした。まぁメインで使ってたのがダイレクト感にかけては定評のある1000ですから余計にそう感じてたのでしょう。後年エンドーサーとして仕事で使う事になり、試しにデモ機吹いたらそれが解消されていて(それまで知らんかった)掌返して信者化しましたw

もっと早くに知ってりゃ良かった・・・(TдT)

 

▼前期型

最初期型のパツパツノイズが軽減されたもの。

ブレスのドン付きとヘッドホンアウトのノイズは健在。

 

▼後期型

ブレスのドン付きとヘッドホンアウトのノイズが解消。

 

こんなところでしょうか。

ブレスのドン付きはファームで解決出来てる事や、パツパツは修理に入れると自動的に対策部品に差し替えられる事等から最初機であっても判断材料にはならず、ヘッドホンアウトのノイズによってのみ前期・後期は切り分けられると考えてください。

但し修理でメインボードを丸ごと交換を行うと前期型でもヘッドホンのノイズは消えるため、これも正確な判定基準とはならず、「ちゅみ~ん」の聴こえる4000sは今となってはなかなかのレアモノになっていると推測されます。

 

ファームウエアver 2.0でメニューが大幅に増え、一応の完成系となりました。

その後も2006年12月に出たファームウェアver 2.3ではEWI・EVI運指モードの他にサックス運指が追加、2008年11月のver 2.4(現行最終ver.)ではEWI USBと共にフルート、オーボエ運指モードが追加され、後のEWIには標準搭載される運指モードのライナップが完成します。

 

 

●EWI4000s 25th Anniversary model

2012年4月

EWI生誕25周年記念のカラーバリエーションモデル。

 

サイドパーツを

 ○パール・ホワイト

 ○フェニックス・レッド

 ○スパークリング・ピンク

 ○ジュエル・ビートル

と言う名で4タイプの特色化。限定50本、お値段なんと168,000円~178,500円

塗装は手が混んでおり、塗膜もブ厚いです。フェクックスレッドはロゴが金色。そして一番高額だったジュエル・ビートルは青と緑の変光塗料が使用されてます。

組み上げは塗膜が厚すぎて公差(もともと公差0らしいけど)限界を超えちゃっており、まともにやったらボディにハメ込みできないため、ボディと当たる面を手作業でひとつひとつ削って合わせていくという「半泣きしながら削って組んだ(※中の人談)」という曰く付きの一品です。

ボディでは無くサイドパーツを変更したのは、当ブログでも紹介した「【情報】EWIのカスタムについて ~その2~(追加情報)」といった理由からだったそうです。

 

後年、指を咥えて見ていたジュエル・ビートルがAKAIさんに飾ってあるのを見つけ、その場でお菓子売り場の子供のようにダダをこねて譲ってもらい、ボディをマジョーラ化してオリジナルカラーとしたエンドーサーがいるんだとか。はい、反省します。

 

(自慢の我が子)

 

 

●EWI4000sw

2013年6月

実はswって日本限定のカラーモデルだって知ってました?

インターネットが普及したせいで、海外の人がこの白い4000sを見ては欲しがるという事案が多発したバリエーションです。

そもそもは並行輸入品対策で“カントリーモデル”として作られたのですが、色のマッチングが非常に良く、未だに根強い人気があります(特に女性)。

名前のswの「w」は当然「white」の「w」です。

 

実はswも初回ロットバージョンが存在します。EWI4000swの書体がイタリック、ロゴが赤色。

2013年10月頃には現行モデルと同じ書体でロゴもフチ形状が変わった(フチ形状のデザインライセンスが終了した事による)現在のものとなり、ロゴ配色も黒となりました。

 

以下写真は上(左)が初期ロットモデル・下(右)が通常モデル。※写真協力梶田勇

 

 

swからはオリジナル音色として、宮崎さん5音色、カラフル6音色、追加2音色の計13音色がダブりである88~100番に追加されました。

 

朝から晩までEWIの事ばっかり考えてるようなジャンキーであるよしめめは追加音色のパラメータを見たくて見たくて仕方なかったのですが、後日AKAIのサイトからダウンロード可能になり、相変わらずのAKAIっぷりに忠誠心は爆上がりでした。

 

 

●EWI4000sw Limited Edition

2013年10月

swのサイドパーツカラーバリエーションです。モデル名としてはEWI4000sw-LE。

25thカラーと同じ4タイプがラインナップされました・・・というか、右サイドには「25th Anniversary」の文字が書かれています。うん、売れ残っちゃったんですねw

 

ちなみに価格は全色同額の96,800円。

うん、売れ残

 

「限定」と称されてはいますが本数は不明。

50本-25th Anniversaryモデルの売れた本数

って事なのは分かりますがw

 

個人的にはこのモデルラインナップが一番綺麗でバランスの良い配色だと思ってます。

なお、組み上げた人曰く「半泣きしながら(以下略

 

 

●EWI4000s(追加音源版)

2018年3月

4000sの最終モデルは「黒い4000sが復活」というわけでは無く、ラインナップをグローバルモデルとしてもう一度統合する事になった・・・つまり「ローカルモデルのswが廃止になった」というのが正確です。

 

 

とは言え何の変化も無いようだとつまらないという事で、追加音源版にはswで追加された13音色の他、残りのダブり番号を全て埋めるべくよしめめの作った7音色が搭載される事になりました。

これは正直自分にとっても記念碑となるお仕事でした。だって自分の作った音がプリセットされるんですよ!?

EWIの歴史の一部として今後永遠に事実として残る栄誉は“いちファン”としてどれだけ幸せな事か・・・。

なお、バンドに入れてナンボの精神で作った音色はあまりにも一般的に使いにくいため、一部音色ではある程度牙を抜かれましたw(これも勉強になった)

 

swと同じくAKAIのサイトから.SQSデータがダウンロード可能となったのも嬉しかったです。

 

 

●公式オリジナルモデル

現時点で分かっているものとしては、

 

▼宮崎隆睦モデル/通称“新幹線”

ボディパーツもホワイト塗装で、swとは違う白です。上部AKAIロゴ配色も赤いし下部にEWIのロゴが無い事から、ボディもサイドもワンオフという事が見て取れます。

 

 

▼若林愛モデル

てっきりLEかと思っていたのですが、サイドパーツのロゴ配色が違うんですこれ。アルバム「ELECTRIC COLORFUL」発表前後は通常の25th記念モデルでしたが、その後swのボディパーツを流用した今の物に。恐らく“新幹線”のカスタムサイドパーツを作った際、ピンクのこれも一緒に作っており、それがめぐちゃんに回ったのでは無いかと想像しています。

しっかし二人して公式オリジナル持ってる夫婦とか世界中探したっておらんぞw(おめでとー)

 

 

▼伊東たけしモデル

写真無し。ボディがカーボン調のモデルです。

一時期使用を確認したのですが今も持っているかは不明。

 

▼本田雅人モデル

以前から青い4000sがあると話は聞いていたものの、実物を見たことがありませんでした。

本田さんのyoutube配信「Ewiを語ろう!part2

 

 

の中でアップの写真が出た事によりサイドパーツが綺麗なマーブル調のブルーである事が判明しました。

 

 

 

4000s以降公式オリジナルはあまり作られていないため、これら以外にあるかは不明です。

 

(続く)