それはまだ小学生の頃です。







ある年のヨシユキヤベの誕生日1週間前にじいちゃんが突然言いました。







じいちゃん『ヨシユキ、自転車ほしいか?』







ヨシユキヤベ『うん!!』







じいちゃん『よしっ!誕生日、楽しみにしときや!』







嬉しくてたまりませんでした。







周りの友だちがチラホラと自分の自転車に乗り出した頃で、ほしいと言い続けていたからです。







人生初の『マイちゃり』です!







それから誕生日までの1週間、まるで時間が止まっているかのように感じました。







誕生日当日、学校が終わり、ワクワクダッシュで家に帰りました。







ヨシユキヤベ『ただいま~!』







じいちゃん『おう!帰ってきたか、こっちおいで!』







じいちゃんの後をついていくとそこにはシートをかぶった自分の宝物になるであろう物の姿がありました。







ヨシユキヤベ、ときめいております。







じいちゃんはシートを両手で持ち、一気に取りはらいました!







じいちゃん『これや!』







その瞬間、宝物の姿が夢であってほしいと思いました。







そこにいたのは死の淵から甦った“ゾンビバイシクル”だったのです!







それはじいちゃんが、捨ててあったガラクタの中から拾いあげてきたであろう色がピンク、右側だけにある補助輪、チリンチリンではなく後付けのラッパ、サドルがわりのザブトン、あきらかに自分が乗るには小さい“ピーターパンのキャラちゃり”でした。







そう妖精ではなく死者からの贈り物です。







ヨシユキヤベ『・・・・』







じいちゃん『ん?嬉しすぎて声が家出したか!』







おそるべし!トウシロウ!です。







まさかのアントニオ猪木氏が得意とする延髄斬りから卍固めのような追い込みコメントでした。







今となってはありがたく、補助輪はすぐにいらなくなり、周りよりいち早く“コマなし”に乗れるようになりました。







言うまでもなく、リサイクルでエコ活動に貢献した上、その月の矢部家エンゲル係数をほんの少し下げたのである。






矢部家