「れきし余論」です。



れきし芸人・長谷川ヨシテルが、


歴史モノの映画やドラマをより楽しむために、


舞台となった歴史の背景や裏話などの「余論」をご紹介いたします。



今回世論するのは、先日公開されたばかりの『利休にたずねよ』。



れきし芸人・長谷川ヨシテルの『我が名をあげよ、雲の上まで。』

映画『利休にたずねよ』公式サイト



市川海老蔵さんが主人公の千利休を演じ、


利休の師匠役の武野紹鴎役を、父の市川團十郎さんが演じた話題の映画です。



この作品をより楽しむための余論を、


今回もQ&A形式でサクサクっとお送りしていきますので少々お付き合いくださいませ。




Q.『利休にたずねよ』ってどんな映画?


A.戦国時代の美の巨匠である茶人「千利休」が主人公の映画です!



Qどんな.内容?


A.天下統一を果たした豊臣秀吉によって千利休は突然”切腹”を命じられてします。

利休は秀吉に一切謝罪をすることなく、命令を受け入れ最期を迎えます。

この”切腹”に込められた、利休の美への執念や意地というものは何だったのか、を追いかけます。



Q.何か難しそうね?


A.難しいです!

かといって「つまらない」「退屈」な映画というわけではなく、あくまで「シリアス」「真剣」な映画です。

そういった意味で「難しい」映画です。

ただ、間違いなく「おもしろい」!



Q.ところで利休って具体的に何した人?茶の人でしょ?


A.そう!茶の人!

海老蔵さんのお父さんの團十郎さんが演じる「武野紹鴎(たけのじょうおう)」という方が茶の師匠で、その弟子が利休さんです。

端的に言いますと、「わびさび」という現代の茶のイメージの原型を完成させたのが「千利休」さんです。


れきし芸人・長谷川ヨシテルの『我が名をあげよ、雲の上まで。』

(千利休)



Q.すごい人なわけね。


A.その通り。

元々は大坂の堺の魚屋さんのせがれだったので、そこから茶を通しての美意識一本でのし上がってきたわけだから、ある意味戦国武将よりも倍率の高い関門を突破してきた強者です。

ちなみに本名は「田中与四郎(たなかよしろう)」さん。

劇中でも利休のお父さん役のの伊武雅刀さんが「与四郎!与四郎!」と呼び止めるシーンがあります。



Q.「田中与四郎」!普通の名前!


A.そうね。

名字の「千」はおじいちゃんが「田中千阿弥(たなかせんあみ)」という名前だったので、そこから引用したと言われています。



Q.ところで何で秀吉に”切腹”を命じられたの?悪いことしたの?


A.これが諸説あるんですよね。

代表的なものを挙げると、

・茶道を通して武将たちを弟子にしたり、とにかく権力を握りすぎた

・茶器を売ってぼろ儲けしてた

・天皇や秀吉が行く寺に自分の木造を造らせた

・秀吉が利休の娘を妾に出すように言ったが断わった

・秀吉の朝鮮出兵を批判した

・茶道の方向性の違い

などが挙げられます。



Q.茶器ってもうかったの?


A.ぼろ儲けよ。

当時は武将のステータスだったので、高貴な茶器を持っていれば一目置かれたの。

織田信長の家臣の滝川一益(たきがわかずます)なんていう武将は、信長からの褒美に領地よりも「珠光小茄子(じゅこうこなすび)」という茶器を求めたんだけど、それが叶わず領地を与えられてガッカリした、なんていう話も残っています。

ちなみに滝川一益は、清須会議に遅刻して間に合わなかった人よ。


れきし芸人・長谷川ヨシテルの『我が名をあげよ、雲の上まで。』
(滝川一益)



Q.へー、領地より茶器がほしいなんて変な話。


A.当時の一国より価値があったと言われているから、現代に置き換えたら高いもので数十億円、数兆円の価値があったんじゃないかな。



Q.すげー!あと、「茶道の方向性の違い」もあったの?何かバンドの解散理由みたい。


A.利休が追及したのは「わびさび」の質素な茶道だったのだけど、秀吉はとにかく派手好き。

金箔を塗りたくった金の茶室を造ったり、とにかく利休の茶道とは大きく方向性が違ったの。


れきし芸人・長谷川ヨシテルの『我が名をあげよ、雲の上まで。』
(秀吉の黄金の茶室[復元] @熱海市 MOA美術館)



Q.この映画はどの説なの?


A.上の諸説すべて挙げられています、

が!それは「秀吉の世間への建前で、ホントの理由は別にあった!」というのがこの作品です。

原作小説を描いた山本兼一さん独自の物語です。

ホントの理由はなんだったのか、それを観に行ってもらいたい!



Q.見どころは?


A.いや、だから今言ったじゃん。



Q.他に挙げるとしたら!


A.他に挙げるとしたら…利休の木造のキュートさですかね!

利休が木造を造らせたというシーンで、ふすまがバッと開いて急に利休の木造がアップで登場するのですが、あやしさを秘めた木造のキュートさに、シリアスな映画ということを一瞬忘れてしまいそうになります。

個人的にそこも見どころだと思います。



Q.最後に何か利休雑学ちょうだい!


A.利休さんは発明家でもあったのですよ。

現代にも繋がる発明品を挙げるとしたら、

・利休箸

・雪駄

・お好み焼き

などがあります。.


れきし芸人・長谷川ヨシテルの『我が名をあげよ、雲の上まで。』
(利休箸)



Q.「利休箸」?


A.上も下も削られている箸のことよ。

「茶の世界には上下の身分の差はない」という意味を込めて利休さんが作ったそうよ。



Q.「お好み焼き」も!?


A.元々、茶菓子の一つに小麦粉に木の実を混ぜて焼いて、砂糖などをコーティングしたクレープのようなものがあったそうで、それが「お好み焼き」の原型になったんだってさ。



Q.利休さんすごい!


A.とにかく頭の切れるクリエイティビティ豊かな人だったみたいね。



Q.今でいうと誰?


A.そういう質問が実は一番困る!



Q.答えろよ、お前、れきし芸人だろ!


A.んー、、、、千利休は今で言う、、、、糸井重里さん!



Q.ん・・・?何かちょっと納得、もっと突っ込みやすい答え出せよ。


A.うるせーバカ。



Q.利休さんが現代に生きてたら、絶対「タモリ倶楽部」出てるね。


A.あ、それは良いこと言った!出てる出てる!



Q.何か急に利休さんに親近感湧いた!ちょっと映画観てくるわ!


A.そうして~♪皆さんもぜひ~!!






またね。