【戦国瓦版 ~長谷川嘉輝がオススメする歴史小説~】



ぼくは今年27歳になります。



いつの間にか良い大人です。



スポーツ界で誰がタメかと言いますと、


ダルビッシュ有投手と、本田圭佑選手です。



年俸は、


ダルビッシュ投手が、約10億円、


本田選手が、約1億3000万円、


長谷川は、やめておきましょう。



ところで、


ダルビッシュ投手と本田選手って、似ている点があると思うんですよね。



高い目標、ストイックさ、強い信念、高い技術力、


そして、周りをはばからない歯に衣着せぬ率直なコメント。


(人によっては、「ビッグマウス」とも・・・)



トップアスリートとはそうなのかもしれませんが、何だか似ている気がします。



そんな二人のことが、この小説を読んでる時、頭によぎりました。


あかいらか長谷川のブログ『我が名をあげよ、雲の上まで。』-rps20130916_221759.jpg

『黒田如水(くろだじょすい)』 (吉川英治)



来年の大河ドラマ『軍師官兵衛』の主人公に決定した、


黒田如水こと、黒田官兵衛さんの小説です。



この小説は、官兵衛さんの30歳から36歳のお話なんですが、


官兵衛さん、トガってます。



自分の考えていることにとても自信があるんで、


絶対に折れないし、変に空気も読まないんですよね。



もちろん敵を作るわけで、いくつも危ない橋を渡っていきます。



終始、「KY」です。



終始、「官兵衛、ヤバイ」です。



官兵衛さんは、現在の兵庫県姫路市出身の武将なんですが、


当時の兵庫県とか中国地方の常識として、


「とりあえず毛利家に従っとけば大丈夫!」というのがありました。



この頃、現在の愛知県から爆進してきた織田信長が、


近畿地方を席巻し始めていたのですが、「毛利家≫織田家」だったんです。



ここで唯一、「織田家≫毛利家」と言いだしたのが、官兵衛さんなわけです。



この人、譲らないんだよなー。



「これからは織田家がくる!そこだったら身分に関係なく出世ができる!もっと良い世の中にできる!」、


そう信じて疑わないんですよね。



ぼくなんかは、石橋を叩いて眺めるタイプですから、


この信念を持って突き進むところは、見習おうとしてもなかなかできないところです。



そんなKYな官兵衛さんに転機が訪れます。



ある裏切った武将を説得するために、自ら立候補して単身、その武将の城に向かったのです。



「(俺が説得すれば、思い直すに決まってる!!)」、


という気持ちだったに違いありません。



そして、城に入って説得するわけです。



「おい!裏切ってどうする!思い直せ!」



官兵衛さん、全く言い分を聞き入れられず、牢屋に入れらてしまうんです。



あちゃー、言わんこっちゃない。



ああ、でも、なるほど。



官兵衛さんも、ダルビッシュ投手も、本田選手も、


もちろん自信があることあるんでしょうが、それにも増して、とにかく純粋なんですよね。



物事の裏を読んで発言することなく、


その時その時に思ったことを、素直にピュアに言動に移すだけなんですよね。



ここで官兵衛さんは、


この牢屋で1年間閉じ込められてしまって、


体から虫が湧いたり、足が曲がらなくなったり、とことん衰弱してしまいます。



死が迫って来るよな状況に置かれた官兵衛さんは、


ここで価値観が変わっていきます。



最終的に何とか救出されるのですが、


前のトガった官兵衛さんとは違い、


あらゆる出来事を自分の運命として受け入れる、寛大な人物に変わります。


(いわゆる、「丸くなった」?)



僕は”焦り”がなくなったんではないかなと思います。



僕自身、趣味はおじいちゃんみたいですが、


まだまだ若い人間でして、”焦り”が大いにあります。



「早く有名になりたい」、「早く飯が食えるお金を稼ぎたい」、「バイト辞めたい」・・・、いろいろあります。



もちろん自分を売り込んでいく積極性は大事なんでしょうが、


チャンスが来るまでひたすら準備し、チャンスが来たら一気にモノにする、


という姿勢が大事なのかもしれません。



ダルビッシュ投手も本田選手が、官兵衛さんに似てると言いましたが、


二人とも、既に”焦り”を除いた、スーパー官兵衛の域に達していると感じます。


(国内にいる時の一昔前のダルビッシュ投手と本田選手は、牢屋に入れられる前の官兵衛さんに似てると思うんですよね)



さて、


この本のタイトルは『黒田如水』なんですが、


本文中には一度も「如水」と名乗ったり呼んだりするシーンはないんですよね。



ただ、官兵衛さんの師匠・友人として登場するキーマン、


「竹中半兵衛」の言動を表現する時に、「水の如(ごと)く」という言葉が一度だけ出てきます。



人生で大きな影響を受けた半兵衛師匠の所作から、


「如水」が名付けられたのでしょうか。



この小説の答えは、それの様な気がします。



そして、この小説の官兵衛さんがおじいちゃんになったら、


「焦るな若者。機を待ち、己を磨け。水の如く、流れるままよ。」、とかアドバイスくれそうですね。



もう一度おさらい。



ダルビッシュ投手10億円、本田選手1億3000万円。



いや官兵衛さん、やっぱ焦るって。






またね。