戦国瓦版です。


あかいらか長谷川が、

戦国時代を始めとした歴史小説をご紹介します。


今回紹介するのはこちら。

熊谷次郎〈上巻〉 (1961年)
熊谷次郎〈上巻〉 (1961年)富田 常雄

新潮社 1961
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地元熊谷市の英雄、熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)の、

生涯を描いた歴史小説です。


JR熊谷駅の北口には、直実の銅像が建っていたり、

熊谷市の小学校では”直実節”という踊りを全員踊ったり、

意識せずとも知っている地元の武将です。


Amazonの方でも、書籍の画像がないように、

少しばかり古い小説でした。


後ろの方に、

印刷発行が昭和36年と書いてありましたので、

1961年のものですね。


文庫本とは違って、普通の書き下ろしだとは思うのですが、

定価320円と書いてありました。


え、やだ、安いー、お買い得ー、

ではなくて、物価が違いますね。


見た目も少し古めかしくて、

図書館とか、おじいちゃんの本棚にありそうな本です。


ネットで注文して、少し経ってから、

見つかりました、みたいな連絡が来てから届きました。


小説の時代は、平安時代の終わりから鎌倉時代です。


これは上巻なので、

保元平治の乱後から、石橋山の戦いまでです。


年号で言うと、1150年代から1180年までです。


物語のキーマンとして、

当時、隆盛を極めた平家一族や、

鎌倉幕府設立の功労人となった人物が、

登場してきます。


熊谷次郎直実は、

石橋山の戦い以降、源氏の配下として活躍していくので、

上巻では、それまでの直実、それも武将というよりも、

一人の男としてのプライベートな直実が描かれています。


そこで特徴的なのが、

直実の周りに登場する女性達です。


直実は、ずんぐりむっくりの太っちょということなのですが、

何だかんだ言って、これは歴史小説あるあるなのですが、

女性に、もてるんですよね。


由良、八重、千景、わらび、かづさ。


うらやましい。


作者の思いを乗せたものなのか何なのか。


しかもまた、

女性のキャラクターの設定がいいですよね。


由良は、未亡人で若い男を狙う年増の女性、

八重は、京から逃れてきたセレブなカワイイ幼子、

千景は、実は平清盛の落胤だという高飛車な悪妻、

わらびは、おしとやかで一緒にいると落ち着く良妻、

かづさは、馬を扱うボーイッシュな健康娘。



そして、この女性達、

揃いも揃って、エッチなんですよね。


良いですね。


歴史小説の醍醐味でもあります。


ただ少し新鮮だったのは、

恋とか愛とか、そういったところが現代人と近い感覚だということです。


この小説だけなのかもしれませんが、

平安鎌倉はそうだったのかなと。


戦国時代とかだと、

政略結婚はもちろん、側室も多数置くし、

女性との恋愛は少なく、もっぱら衆道が多いですもんね。


現代人からすると、

女性との恋愛が当たり前のようですが、

戦国時代の見方とは随分違って、

清々しい時代なんだなと思いました。


この恋愛が逆に戦国時代に入ってくると、

それはそれで違和感があるんですよね。


武将達も武将達で、

裏切りや陰謀などがまだ浸透してない時代ですから、

清々しいところをもった人物なのが気持ちが良いです。


ぼくは好きな小説です。


源平合戦の勉強にもなりそうですし、下巻も楽しみです。







またね。