戦国瓦版です。


あかいらか長谷川が、

戦国時代を描いた小説を紹介します。


今回紹介する小説はこちら。

関ヶ原連判状 下巻 (集英社文庫)
関ヶ原連判状 下巻 (集英社文庫)安部 龍太郎

集英社 2011-03-18
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先日紹介した上巻に続きましてです。


場面は、

1600年(慶長5年)7月から、

関ヶ原の戦いの起こる9月までです。


物語の主軸は、

徳川家康の東軍と石田三成の西軍の、

全国の大名が二つに分かれて戦った関ヶ原の戦いに、

細川幽斎が"古今伝授"や"関ヶ原連判状"を切り札に、

前田家と共に第三勢力を作り出そうとしていたというところにあります。


この着眼点はすごいと思います。


ノーマルでプレーンな関ヶ原でないというのは、

戦国好きからするととても刺激的です。


家康や三成を中心にせず、

しかも関ヶ原にはいなかった、

細川幽斎や前田利長を主軸におき、

有職故実に着目し、

朝廷内の派閥の争いも交えてくるなど、

今までになかった関ヶ原記です。


"普通の関ヶ原の戦い"を、

知っている方向けの小説になっています。


少し残念だったのは、

物語の幹の部分より、

枝や実ばかりが大きくなって、

幹が全然成長していない感じがしたところです。


一昔前の巨人みたいな、

江藤、清原、ペタジーニなど揃ってるのに、

チームは中々勝てないみたいな。


ちょっと違うかしら。


とにかく、

いろいろな伏線を張ろうとしすぎたり、

人間関係を出させようとしすぎて、

少し不自由な展開のように感じました。


そして、

第三勢力云々と、

背表紙やレビューなどで書いてある割には、

細川幽斎の描く未来は、

第三勢力とは言いきれないように思えました。


徳川政権は絶対くるから、

その上で自分の力を優位に働かせようとする、

言わば普通の政略戦です。


ちなみに、

タイトルにもなっている関ヶ原連判状とは、

足利家ゆかりの大名による同盟書らしいです。


ぼくが思うに、

このタイトルがハードルを上げすぎたのか、

それともこのタイトルが違う競技にしてしまったのか、

とにかく何だかタイトルが違ったかなと。


『幽斎の関ヶ原』というような感じのタイトルの方が、

この小説にマッチしていると個人的に思っております。


ぼくが期待値を、

勝手に上げていただけかもしれませんが。


とは言っても、

朝廷内の政争や、

関ヶ原の各地での動きの理由付けなど、

筆者特有のとてもユニークな視点で捌いています。


こんな関ヶ原見たことない、

そんな関ヶ原異聞記です。


是非。





またね。

関ヶ原連判状 下巻 (集英社文庫)
関ヶ原連判状 下巻 (集英社文庫)安部 龍太郎

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