お送りします。


あかいらか長谷川が、

戦国時代を描いたら小説を紹介します。


今回紹介する紹介はこちら。

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)
利休にたずねよ (PHP文芸文庫)山本 兼一

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ぼくの好きな小説家の一人である、

山本兼一さんの作品です。


この作品でもそうですが、

物語の中心に、

茶人を置いたり、

大工の棟梁や鷹匠を置いたり、

少し違った視点から小説を描くところに、

山本さんの作品の特徴があります。


この小説は、

千利休の美の根本を追及していきます。


ぼくはこの小説が好きなのですが、

それはこの小説が、

普通のものとは異なる技巧を、

使っているというのも一つの理由です。


まず目次で一つ気づくことがあります。


背表紙には、

長編歴史小説と書いてあるのに、

目次はまるで、

短編小説のようになっているのです。


利休を中心に書く項、

秀吉を中心に書く項、

古田織部を中心に書く項など、

登場人物は多岐にわたります。


これが別々の話を追うものでは、

もちろんなく、

全ての話が繋がり、

利休の美のルーツを辿っていきます。


そして、

読み始めて気づくこともあります。


それは、

物語の時系列です。


驚くのは、

いきなり利休の切腹の日から、

始まるという点です。


そして、

次の項は切腹の前日、

その次の項は切腹の二週間前、

というように、

どんどん遡っていくのです。


そして、

遡るところまで遡って、

最後の項に、

また切腹の日に戻ってくるのです。


そして最後の項は、

利休でなく、

利休の妻の宗恩が主人公というのも、

ぼくは好きなところです。


こういった描き方をする歴史小説には、

まだ出会ったことはありません。


回想する小説とも違うし、

推理小説みたいなものとも違うし、

この小説の仕掛けは、

本当に独自のものだと思います。


利休の美のルーツは何なのか、

それを辿っていく作業がとても楽しいです。


「利休、なんで?」、

「利休、何があったの?」、

と読み進んでいくのですが、

そのルーツに潜む暗闇からか、

読んでる時に周りの酸素が薄くなるような、

そんな息苦しさを錯覚しました。


絶対的な美を支配していた利休が、

なぜそこまでして美に執着するのか、

それは文字通り、

利休にたずねなければならないのですが、

その理由はひょっとすると、

読む人それぞれが、

合点のいくものを導き出せるかもしれません。


それはきっと利休がそうであるように、

自分の中に潜むものが、

その理由を決めるのかもしれません。


ぼくが捉えた理由は、

「コンプレックス」、

「償い」、

「究極」、

でしょうか。


この理由は、

ぼく自身のメモ程度に残しておきます。


この小説は、

以前に読んだことがあって、

戦国瓦版にも書いたのですが、

前よりも、

うまく読めたような気がします。


前にブログに書いたのを読んだけど、

よくわからなかったし。


今日のこのブログも、

少ししてから読むと、

よくわからなくなるのでしょうか。


楽しみです。





またね。


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