お送りします。


あかいらか長谷川が、

戦国時代を描いた小説をご紹介します。


今回の小説はこちら。

国盗り物語〈第4巻〉織田信長〈後編〉 (新潮文庫)
国盗り物語〈第4巻〉織田信長〈後編〉 (新潮文庫)司馬 遼太郎

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3,4巻は織田信長編ということなんですが、

主人公は、

織田信長と明智光秀となっています。


場面は、

織田信長による稲葉山城陥落から、

本能寺の変後の山崎の戦いまでです。


1567年(永禄10年)から、

1582年(天正10年)までです。


この巻では終始、

織田信長の激しさと、

明智光秀の憂鬱が、

対照的に描かれていました。


室町幕府に関することや、

比叡山に関することなどです。


そして、

家臣を道具としてしか見ない織田信長が、

必要性のなくなったものをどんどん追放していくことに、

恐怖を覚えた光秀が、

やられる前にやらなきゃと、

結局は、

クーデターを起こすわけです。


このクーデターは、

あまり評価されないのが一般的ですが、

ぼくは、

この日本最大級のクーデターである、

本能寺の変は、

目的を速やかに遂行したという点で、

大成功だったと思っています。


信長を暗殺するという難業を、

見事に成し遂げたし、

さらに、

その嫡男である信忠も、

亡き者にしているからです。


しかし、

明智政権は11日しかもちません。


物語も、

山崎の戦いに敗れ、

小栗栖の竹藪の中で、

土民に襲撃されるところで、

終わっています。


明智光秀は、

精神的に追い込まれたせいか、

政治的な感覚を失い、

一種の感情で、

クーデターを起こしてしまいました。


そのことが、

政権の短さの原因かと思われます。


姻戚である、

細川藤孝(幽斎)と筒井順慶も、

光秀を裏切り(光秀側から見たら)、

軍を動かさなかった原因もそうです。


戦には必ず大義名分が必要で、

織田信長の上洛戦は、

足利義昭を擁して、

室町幕府を再興するという、

大義名分があったからこそ、

成し得たわけです。


本能寺の変に関していえば、

明智光秀はその点が欠けていたわけです。


本能寺の変に謎が多いのは、

その点がはっきりしていないからです。


一体何のためにクーデターを起こしたのか。


大義名分は何だったのか。


それがわからないのです。


きっと当時の武将たちも、

それがわからなかったからこそ、

羽柴秀吉についたのでしょう。


しかし、

こういう感想を持つからといって、

明智光秀が嫌いなわけではなく、

むしろ好きです。


何か、

どうしようもない衝動が、

日常の感覚を壊してしまうというのが、

共感できるんです。


さて、

話は少し変わりますが、

国盗り物語は全巻を通して、

合戦の様子がサクサクっと描かれています。


短いものだったら、

1行で書かれているものもあります。


普通だったら物足りないのですが、

この小説は、

斎藤道三、織田信長、明智光秀の、

内面を中心に描かれているので、

逆にテンポがよくなっているような感じを覚えます。


そしてなぜか、

最終的に、

足利、織田、豊臣、徳川の、

四つの政権を渡り歩いた細川幽斎ってすごいよね、

というとこに落ち着いています。


最後に、

話の枝葉が広がってしまうという、

司馬さんっぽさが出ています。


司馬さんの小説は、

そこら辺も楽しいところです。


国盗り物語、

戦国時代を描いた小説の代表です。


是非読んでみてください。





またね。


国盗り物語〈第4巻〉織田信長〈後編〉 (新潮文庫)
国盗り物語〈第4巻〉織田信長〈後編〉 (新潮文庫)司馬 遼太郎

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