お送りします。
このブログ恒例の、
あかいらか長谷川が、
戦国時代を描いた小説を、
紹介する企画でございます。
今回紹介する小説はこちら。
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主人公は、
出雲国出身で、
浪人から、
因幡国鹿野の大名にまで、
成り上がった、
亀井茲矩(これのり)です。
今で言う、
島根県出身で、
鳥取県の副知事になったような、
人物です。
まず、
この人で思い浮かぶのは、
その役職名です。
当時は、
山城守(やましろのかみ)や、
修理亮(しゅりのすけ)など、
律令国家時代の役職名を、
有名無実ではあっても、
便宜上、
名乗っていました。
亀井茲矩は、
秀吉に、
どの役職名が欲しいか、
と尋ねられると、
琉球守を所望しました。
この役職名は、
ユニークというか、
斬新というか、
珍しいのです。
なぜなら、
律令国家時代は、
琉球は日本ではなく、
役職名に、
琉球守はないのです。
また、
自分の居城である鹿野城を、
王舎城と名づけたり、
櫓に、
オランダ櫓や朝鮮櫓と名づけたり、
日本海側に所領があるにも関わらず、
東南アジア各国と、
積極的に貿易を行ったり、
異国趣味の強い、
実業家のような戦国武将でした。
亀井茲矩は、
元は、
島根県の戦国武将、
尼子家の家臣であったのですが、
毛利元就に滅ぼされ、
若くして浪人します。
数年後、
尼子家復活をかけて、
あの山中鹿之助幸盛が、
活動を始めると、
その傘下に加わり、
羽柴秀吉と接触し始めます。
その後、
秀吉の家臣として活躍し、
元は浪人の身ながら、
鳥取の鹿野の大名にまで、
のし上がります。
領地では、
積極的に新田開発を行ったり、
お年寄りを城に招いて敬老会を開いたり、
商品作物をいろいろ栽培したり、
類稀な行政能力がありました。
ちなみに、
亀井家は後に、
津和野へ移封となりました。
森鴎外は、
津和野出身みたいですね。
亀井茲矩という人物は、
その所領の小ささにも関わらず、
その視野の広さは、
戦国時代屈指と、
いえるのではないでしょうか。
とにかく、
知的好奇心の強い、
人物だったのではないでしょうか。
主人公の戦国武将は、
とてもマイナーですが、
小説自体は、
とても読みやすいので、
是非読んでみてください。
特に、
山陰地方出身の方に、
おすすめです。
宍道湖とか、
千代川とか、
湖山池とか出てきます。
この小説を通じて、
亀井茲矩は、
お前小せぇ小せぇ、
世界はな、
もっともっと広いんだよ、
だからな、
懸命に生きろ、
そんなことを、
語りかけてくれます。
またね。
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