【竜】(りゅう、りょう)は、中国神話の生物。
古来神秘的な存在として位置付けられてきた。
旧字体では「龍」だが、字としては「竜」の方が古く、甲骨文字から使われている。荘厳にするため複雑にしたのが「龍」である。
「龍」は今日でも広く用いられ人名用漢字にも含まれている。
ドラゴン[dragon]の訳語として「竜」が用いられるように、巨大な爬虫類を思わせる伝説上の生物全般を指す場合もある。さらに、恐竜を始めとする化石爬虫類の種名や分類名に用いられるsaurus(蜥蜴;トカゲ)の訳語としても「竜」が用いられている。
このように、今日では広範な意味を持つに至った「竜」であるが、今回は中国の伝説に起源を持つ竜を説明していく。
▽概要
竜は神獣、霊獣であり、麒麟・鳳凰・霊亀とともに四霊のひとつとして扱われる。『史記』における劉邦出生伝説をはじめとして、中国では皇帝のシンボルとして扱われた。水中か地中に棲むとされることが多い。その啼き声によって雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔すると言われる。
南宋時代の博物誌『爾雅翼』では竜の姿を「三停九似」、つまり首~腕の付け根~腰~尾の各部分の長さが等しく、角は鹿、頭は駱駝(ラクダ)、眼は鬼(幽霊)あるいは兎、身体は蛇、腹は蜃(しん)、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似るという。また口辺に長髯をたくわえ、喉下には一尺四方の“逆鱗”があり、顎下に「宝珠」を持っていると言われる。秋になると淵の中に潜み、春には天に昇るとも言う。
十二支に各々動物が当てはめられた際、唯一採用された伝説上の生物である。後漢の王充『論衡』言毒篇に「辰為龍、巳為蛇。辰、巳之位在東南」とあるのが、確かめられる最も古い記述である。なぜ辰だけが想像上の動物になったのかは未だに議論の的であり、定説がない。
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