テレビで、認知症の老女を

野良犬の老犬が一晩あたためてくれたという話があった。

とても心あたたまる話だなあと思ってみていた。


野良犬としても寒かっただけで、

ちょうどそこに警戒心のない老女がいて

「お互いあたたまりましょう」となっただけかもしれないけれど、

それ以上の感情が犬にあったと私は思いたい。


犬という動物は

本当にすぐれた動物だと思っていて

知能では、猿に劣るかもしれないが

感情面では、人間に一番近い動物だと私は思っている。


以前、10年生きたタロさんという雑種を飼っていたことがあって、

犬はつくづく飼い主の表情をみる生き物だとそう思うことがあった。


そのタロさんが、もう最後の時、

私は無理やりごはんを食べさせていたし

「ちゃんと食べて元気になりなさい」というと、

タロさんも、よろよろしながら、立ち上がっては

少しごはんを食べてくれていたのだ。

ところがもう動物病院に連れていくこともできなくなって

先生に往診を頼んだ時、

先生はタロさんをみるなり「もう、だめです」と。

タロさんは、そんな先生の表情をじっとみていて

それからというもの、どんなに食べ物を食べさせようとしても

口を頑なに閉ざして、食べようとしなくなったのだ。

それから1週間後に、タロさんは死んでしまったけれど

犬は人間の思っていること、感情を

察することのできるすぐれた感覚をもっていると

つくづく思ったものだ。


タロさんが死んだ夜、私はタロさんの夢をみた。

タロは、草原を楽しそうに駆けていってしまう夢だった。

目がさめて、「人間は死んだら花園へいくというけど

犬は草原なのかなあ?行く場所が違うのかもしれない」と

わたしはその時変な気分になったものだ。


今年の春、私がヒフ関係の病気に悩まされる1ヶ月ほど前

私はひさしぶりに、タロさんの夢をみた。

タロさんは、土間のところで、しっぽをふっていた。

よくみると、タロさんの体中、ヒフがただれていた。

「どうしたの?」と掻いてあげたら、余計に悪くなる夢だった。

タロさんは、実にかなしそうな顔をした。

夢の中とはいえ、

あんなに掻いてしまって、悪かったと思っていたら、

あとになって、私がヒフ病に悩まされることを

タロさんは、知らせにきてくれたのだと

そう思ったものだ。



「これは人間の心をもっているなあ」と思う猫や犬に

出会うことがある。

それは猫よりも、犬の頻度が多い。

もしかしたら、この犬は

元は人間だったのじゃないかと思う犬がいる。

目と目があってしまう、というか、

この犬とは、以前、どこかで会ったような気がするというか、

そんな感じにおそわれるのだ。


そんな感情豊かな犬を

人間さまは、3日で、処分するんだもんなあ・・。

その3日間の恐怖というものを

犬は感じ取っているというのが、よくわかる。

人間だったら、きっと3日もたたないうちに発狂ものだ・・。

犬を捨てる人間は、あれは罪だとしか

思えない。