「ひとのいいねこ」  なんぶかずや  


なんぶかずや氏は、ねこのお医者さんです。

ひとのいいねこが、死にそうなノミを助けるのですが、

ノミは猫に依存し、その結果どんどん増えていってしまいます。
そして、ひとのいいねこ自身の首をしめるような状態に追い

込められてしまいます。


この絵本を読んだ時、「ほんとうの親切」ってなんだろう?と考え

させられた、なかなか奥の深い絵本です。


私は小さい頃、「人には親切にするんだよ」と教えられました。
今も基本的にはそう思っていますが、この場合はどうでしょう?
「かわいそうだから」という元々は優しい気持ちから発する行為を

全面的に否定はしませんが、その結果増えすぎてしまう悲劇と、

親切に対しての責任を取らされるねこと。


人の「善意」があだになる・・こういうことを近頃よく考える時、
その場合、結構、自己満足の「善意」が多いようにも思うのです。

以前、戦時中ユダヤ人を助けた、久畝氏の「命のビザ」のテレビを

見たことがありますが、自分の信念と良心に照らし合わせてやむに

やまれず行う行為とは区別されなければなりません。


が、もしあなたが、痩せたノミに「死にそうです、一口あなたの血を

飲ませてください」と頼まれたら、どうしますか?
後で自分の首をしめるとわかっていても飲ませてあげますか?
それとも見知らぬふりをして通り過ぎますか?
あなたに子供がいたなら、「私だったら・・」「ぼくだったら・・」と
どう言ってあげれるでしょう?


そう考えると、物事を単純にいい、悪いで判断できないような、

とても難しい世の中になったようにも思います。

南部 和也, 田島 征三

ひとのいいネコ