「セブンスタワー」全六巻  ガース・ニクス   


ハイ・ファンタジーというのは、『現実と異なった理論と法則が支配

している別世界で、舞台として語られる物語』だそうです。
このジャンルの代表作として、「指輪物語」があります。
実はこの世界は、子供だけでなく、大人にも十分おもしろい・・。
ドラゴン・クエストやFFのファミコンゲームのいたるところに、
ハイ・ファンタジーからとったと思える怪物や地名が出てきます。
エルフは「指輪物語」だし、キメラは「ギリシャ神話」・・
思い出せないくらいたくさんあります。


私の場合はファミコンが先でしたが、それだから読み進める間に、

知った名前が出てくるとうれしくなり、余計に親しみが増しました。
このところ、このハイ・ファンタジーの世界はブームらしく、

本屋でも図書館でも本がすさまじく多くなっているのに驚きます。
「セブンスタワー」もそのひとつで、全巻6巻からなります。


主人公のタルは、7つの身分の塔の「オレンジ」の階に住む少年

です。オレンジという階は下から二つ目で、そう上の身分ではあり

ませんが、一応「選民」といわれ、読んでいるとやはり上の階の人

には逆らわず、下の階の人にはどこか偉そうにしていますね。
その下に地下民と呼ばれる召使がいて、さらに選民は魔法の国

アイ二ールから連れてきた影を奴隷に従えます。
この世界が最初は少年の目を通して、当たり前のように描かれる

ので、私は、少し驚いたものです。
少年は、最初は上の階の選民になろうとそれを目標にしているん

ですが(選民は誰でも)、事件をきっかけに塔を離れることになり、

塔を外から眺めます。

すると、今まで当たり前と思っていた価値観がどうもそうではない

らしい・・ということに気づきはじめるのです。
「やっぱり、ここへ来たか・・」と内心、塔の制度が当たり前でなく

なったことに私は少し安堵しました。
さて、「当たり前」だと思っていることが、いかにあやふやなことで

あるか、そんなことは世の中にたくさんあって、私自身も意外と

慣習というか、訳のわからない「常識」の枠にとらわれて身動きが

できないでいることも多いように思います。
その「当たり前」の世界が、少年の目になってくつがえされていくと

いうのは、少年自身最初は混乱を引き起こしますが、

やがてそこから自分なりの判断と行動によって、是正され始める

動機となります。
それによって少年が成長していく物語なので、

この話は、ハイ・ファンタジーでもあり、

もしかしたら「少年冒険小説」かもしれません。


セブンスタワー〈1〉

光と影/ガース ニクス