学校の英語を学んでも、生きた英語は話せない。
いくら英語を書けても、試験では役に立つかもしれないが
卒業してしまえば、喋れなくては意味がない。

私は、そう考えて、英語のヒアリング の勉強にはげんだ時期がある。

当時は、外国人と話す機会があり、
「聞き取れなければ、いくら単語を知ってても話せない」
それを痛切に感じたからだ。
しかし、海外へ行く時間もないし、お金もない。
かといって語学学校へ行くにもかなりのお金がかかる。

私はまず、実際に、通信講座によるヒアリングを受講した。
ひまされあれば、ずっと耳から英語 を流しっぱなしにする。
当時、通勤の電車の中で聞いたものだ。
不思議なもので、忙しくて時間がなければないほど、
時間を工面して勉強している。
それが結構、毎日を充実した気持ちにさせたりもする。

そのうち、ある日、ふっとその英語 の意味がわかる瞬間があった。
最初は長い文章の中で、1つ、2つの単語しか聞き取れなかったのが
ある日、頭の中で英文が再生されている。
そして、それは英文のまま、意味を伝えてくれるのだ。
ずっと聞いていると、英語の思考ができてくるというか、
それは本当に不思議な感覚だと思ったことを、今でもよく覚えている。

それからしばらくして、私は海外旅行を一人で出かけた。
始めての海外旅行で、ツアーでもなく、しかもイギリスである。
着いてから、1、2日は、聞き取れなくて苦労したが、
まわりはすべて英語だらけの世界の中にいるうち、
1週間もすれば、なんとなくではあるが意味を取れるようになり、
ホテルも自分で苦労しながらも取れるようになった。
あの、テープを聴いていた時の感覚と同じなのだ。
その時、私は、あのヒアリングのテープのことを
思い出さずにはいられなかった。
そして、話かけられるそばから、
自分が自然に、「yah」と相づちをうっていたのに気づいて
なんだか少し苦笑したのを覚えている。
海外へ行けば、英語を早く喋れるようになるのは、
必要にせまられることと、1日中英語 のシャワーを浴びるからだ。
では、そうそう海外へ行けない人は、どうしたら話せるようになるだろう?
それは、家庭の中で、外国と同じ環境を作ってやればいい。
そんなことを考えていたら、
また、英語 を勉強しなおしてみようかな、と思いだした。
押入れに直しこんでいた教材を取り出し、
実際、今、ながめている。