月に一度、私はふらりと電車に乗る。

何の用もないのだが、

時々家にいることに息がつまりそうになるのだ。
そうはいっても、電車に乗ったとたん、たいてい後悔する。

「出かけなければよかった・・・」


でも出かけたんだから、しょうがない。

私はなぜか人の多い都会のほうへと目指す。
誰も知ってる人もいないのだが、
それが逆に心地よい時もあるのだ。


人はいる

だけど知っている人はいない

そういう状態が一番いいのだ。

巷ではこういう人間のことを

「人間嫌いの人間好き」というらしい。

けれど誰の目も気にしないで

街角でアイスを食べ、

疲れたらベンチでうとうととする

なんと自由じゃないか!

狭い田舎だとね

だれそれに会うからいろいろと疲れるのよ・・・。


私は主婦に名を借りた、

かくれニートである(断


そのせいか、一生懸命働いている人の姿を見ると

私にはその人が輝いて見える。

街角に立ってティッシュを配る女の子をみても、
このせちがらい世の中で、

「お願いします、お願いします」と

一人一人に声をかけて必死に働いている。

「ああ、偉いなあ」ってそう思う。

だれをみても、偉いなあってそう思う。

電車の中で、疲れたサラリーマンをみても、

「あんなに疲れているのに、偉いなあ」

街角で立って、お経を読んでいるお坊さんをみても、

「ずっと立って、えらいなあ」ってそう思う。


世の中、捨てたもんじゃない


捨てたもんじゃない、じゃないのは、

私ぐらいなものか?

といっても、こんな私にも

必要としてくれる家族がいるから、

ありがたいものだ。

私がいなければ、

6匹のねこたちは、飢え死にするし、

トイレだって、よごれっぱなしだ。

夫だって、メシにありつけない。


それぞれ役割というものがあるんだなあ・・なんて思いながら

帰りの電車で、となりにすわったよぼよぼのおじいさんを見ながら、

「この人にも、ばあさんが家で待っているのだろうか?」と

余計な心配をちょっとだけした。