亀の甲のように凝り固まった我欲我情の結晶、


いわゆる罪は、


どうしたならばこれを消し、


本来の純愛に帰り得るか。


ここに端的無難の方法は、


涙の洗浄である。


身分年齢の髙下をこえて、


相手を無上に敬って、


ただ涙をそそぎ、


至情を吐露する。


この時、


あらゆる我情は、


洗い去られた明澄至純の心境に達する。


家が変わり、


環境が変わり、


人が変わる。


世界が清められる。


これ正しく倫理の世界における心境の登竜門である。


人生の真実、


実在の一角への突入である。


➖ 丸山敏雄 ➖