昨年本屋で購入した「録音された誘拐」(阿津川辰海 著)を読み終えました
書店に話題の新作というポップが掲示されていたのが目に入り、なんとなくパラパラとページをめくったら直感的にこれは私の好きなお話、書き味だなと思ったので購入したのですが同時に購入した文庫本を読み進めたりなんやかんやしていたら時間が過ぎてしまい読了がいまとなりました
主人公である探偵事務所の人々は著者である阿津川さんにとって思い入れのある登場人物であるということが巻末のあとがきにありましたが、確かにとても魅力的な人々で読み進めるうちに私も肩入れをしてしまうというか応援したくなっていきました
ミステリー小説は「犯人は誰だ」、「その証拠はなんだ」、「どんなトリックだ」というのを目を皿にして探すような意地悪な読み方もできますが、そういう読み方に対してある程度だれの目にも怪しいポイントを提示しつつも「まぁまぁいまはこれくらいにして物語を楽しんでくださいよ」と静かに促すような丁寧な話の展開が繰り広げられるので「そういうことならじゃあ」と肩の力を抜いて物語に没頭することができ、早解きみたいなことをせず読み進められ、そして大変満足な読後感を得ることができました
ミステリー小説の醍醐味を損なわないようにネタバレしていませんが、ちゃんと骨のあるとても良い小説でしたのでもし興味を持たれたならぜひご一読ください
本屋さんに足を運んで何の気なしに書棚を見て「あ、これは」と食指が動いた本を手に取って読む、といった非効率的な動作は今日日の流行りではないかもしれませんが、そんなピンとこない日があるかもしれない非効率の中に何かワクワクすることを探すなんてことが私は結構好きだったりします
またふらっと本屋さんに足を運んで見ようとおもいます