個人情報取扱事業者は個人データを第三者に提供するときは、原則として本人の同意を得なければならないところ(個人情報保護法第27条1項)、訴訟等において、個人データが記載された書面を裁判所に証拠提出することはどのように正当化されるか。

 

一つの考え方として、同法27条1項2号を適用する見解がある。

 

法27条1項2号は、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」は、本人の同意を得ないで個人データの第三者提供を可能とする規定である。

 

ここでいう「人」には、法人も含まれると解釈されている(令和4年9月一部改正の個人情報保護委員会のガイドライン通則編3-1-5(2))。

そして、同法上、個人又は法人を問わず、個人情報取扱事業者はこの「人」に含まれないとする規定はない。

 

「人の生命、身体又は財産」とは、具体的な権利利益を意味しており(前記ガイドライン通則編3-1-5(2))、売買代金、商標、損害賠償などは当然に含まれるし、裁判手続との関係では常に満たされるとする見解(板倉陽一郎「個人データが含まれる証拠の裁判所への提供についての考察」)もある。

 

「本人の同意を得ることが困難であるとき」という要件については、本人が訴訟の相手方である場合は当然に満たすと考えられる。

しかし、相手方以外の者である場合については・・・。