世の中には、「王者」と呼ばれる人がいます。
「〇〇界の王者」
主にスポーツの世界でものすごい功績があった人につけられることが多い、誰もが認めるトップofトップの称号。
数年間無敗の人やその年のタイトルを獲った人、その時々で「絶対王者」とか「年間王者」とか、そういう呼び方が定着していると思いますが、その中でもずっと「王者」と呼ばれ続ける人がいます。
ピーク時よりは成績を残せなくなっても、引退しても、ずっと「王者」と呼ばれ続ける特別感のある人。
「カリスマ」「レジェンド」「プリンス」・・・特別な人を表す言葉はたくさんありますが、その中で「王者」と呼ばれる人たち。
ものすごく個人的な意見ですが、この「王者」と呼ばれ続ける人たちは、「威厳と愛嬌がある人」というイメージがあります。
気品にあふれ、威風堂々としているのになんともいえない可愛らしい雰囲気を持つ人、という感じでしょうか。
「王者の風格」とか言ったりしますけれども、そんなイメージがあります。
そしてさらに、もう本当に勝手すぎる個人見解ですが「謙虚な上から目線発言をする人」という印象があります
謙虚なのに、そもそもいる位置が高過ぎて嫌味にもならない、ホンモノの頂点から目線というやつです。
私の中でこの「謙虚な上から目線の発言」で最も印象に残っているのは、
プロテニスプレイヤーの「ロジャー・フェデラー」さんです。
ウィンブルドン選手権で優勝8回(現時点で最多)、現役時代に無類の強さを誇ったテニスプレイヤー。
「芝の王者」
と呼ばれました。
学生時代に少しだけテニスをかじったことがありまして、やはり他のスポーツよりは比較的試合の中継を見る機会が多かったのですが、フェデラー選手がウィンブルドンに出ていた時、特に決勝戦はほとんど見たと思います。
フェデラー選手のプレーは、もう、とにかく
「美しい」のです。
素人に毛が生えたくらいの私でもわかるくらい、
とにかく「美しい」です。
芸術的と言えるくらいのプレーと人柄もあったのでしょうか・・・
「史上最高のテニスプレイヤー」と評されました。
解説者の人がみな口を揃えて、
「彼はとんでもなく難しいことを、いとも簡単にやっているかのように見える。」
と言います。
「今のプレーは簡単に打ってるように見えて、普通はラケットに当てることすら難しいんですよ!」
というような言葉を何度も聞いた記憶があります。
彼は恐ろしく難しいことを眉一つ動かさずに簡単にやってのけます。
コート上で感情を表すこともほとんどありません。
いつも冷静に淡々とプレーをします。まさに威厳に満ちた風格です。
そして、試合が終わって勝った時は、はにかむような笑顔でインタビューに答えます。
フェデラー選手の名勝負といえばあげればきりがありませんが、そんな中でも私が最も印象に残っているのは、、、
2009年、ウィンブルドン決勝戦
「ロジャー・フェデラー×アンディ・ロディック」
の一戦です。
フルセットまでもつれ込み、試合時間は4時間18分におよびました。
ファイナルセットのファイナルゲーム。
手に汗握る一進一退の攻防戦が繰り広げられました。
高かった太陽が西日となり、何か荘厳ともいえるような雰囲気に包まれていきます。
会場がシーンと静まり返り、ボールを打つラケットの音だけが延々と響き渡ります。
緊迫した雰囲気の中、ものすごいスピードのボールが行き交っている状況なのに、なぜかすべての光景がゆっくり流れているような、、、錯覚というのでしょうか。
その場の空気自体が、ある種の「ゾーン」みたいなものに入っていたのではないかと思います。
とても美しくて、ずっと見ていたい・・・そんな気持ちにさせるような光景でした。
私などは最後のほうはもう正座をして見入っておりました 。。。
この試合の最後の一球を制したのは、フェデラー選手でした。
試合内容ももちろんですが、その優勝インタビューでの一言が、とても印象的で今も記憶に残っています。
「この試合を制することができた理由は何か?」
と、聞かれたフェデラー選手。
「アンディはとても素晴らしかった。(フェデラー選手は勝ったときにもまず相手を称えます。)
どちらが勝っても不思議ではなかった。
ただ、僕は、ウィンブルドンの決勝戦、フルセットでのファイナルゲームの戦い方を知っていたんだ。」
ただ、それだけのほんのわずかな違いだよ、、、みたいな雰囲気で、、、日本語訳なのと古い記憶なので正確ではないかもしれませんが、こんな感じだったと思います。
もう、上からなんだか下からなんだかわからない・・・なんとも言えない圧倒的な王者の言葉に聞こえました。
ウィンブルドン選手権に出場するだけで、屈指のテニスプレイヤーと言われます。
その大会で決勝戦まで進むのは、もちろん世界最高峰のプレイヤーたちです。
その決勝戦でフルセットまでもつれこむような試合のファイナルゲームを何度も経験して、何度も勝つことができる人は・・・・世界に何人もいません。
それを、サラッと言っちゃう。
正真正銘の
「王者」
なんだなぁ、と思ったことを覚えています。
こういう王者気質みたいなものは、性質から性格から人格からすべてを通した総合力評価みたいなものだと思うのですが、圧倒的な何かを備えている人に人は何かを感じるのかもしれません。
テニス選手は(占星術的に言うと)あるグループに属している人たちがものすごく多いのですが、その中でフェデラー選手は異色なほうです。
そういうところも人は何かを感じ取るのかも、なんて勝手に思ったり、、、してしまいます。
「敬意をもってプレーし、気品をもって勝つ」
と言ったフェデラー選手。
「王者」と呼ばれた彼らしい言葉だと思いました。
2022年に多くの伝説を残して引退。
プレー中は威厳に満ちた圧倒的な強さを誇り、そして、笑った時にクシャっとなる顔に愛嬌を感じる「芝の王者」と呼ばれたフェデラー選手の試合をもう見ることができないのは寂しい限りですが、、、
来週からウィンブルドン選手権2023が始まります。
また、ものすごい熱戦が繰り広げられることでしょう!
楽しみです😊
●吉祥寺 このはな咲や●